知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

渉外

Reasonable? Nuisance?

悲しいかなそれなりの頻度で米国においてNPEから特許侵害で訴えられることが続くと、えぇ〜、いくらなんでもこの特許でこの製品が侵害ってことはないでしょ?!という筋のものを相手にすることが間々ある。こういうものとまあ全面的に認めるわけではないけど…

好みの裁判地@米国特許訴訟

毎日『米国訴訟日報』からメール配信される米国での提訴情報を見ていると、頻出する裁判地というのが肌で分かってしまったりする。もちろんAIAの前も後もテキサス東部(Eastern District of Texas: EDTX)が一番人気なのだが、二番手以降は決め手に欠けるとい…

無形固定資産の会計処理等の覚え

自分にとっては常識のことが通じなかったりして、毎度なんだか調べている気がするので、覚書としてソースを書き付けておく。特許等の譲渡や実施許諾(ライセンス)を定額で受けた場合(語義から明らかなように過去の実施行為についてではなく将来に着いての…

専守防衛?

元担当役員の某氏が担当だった頃、米国で訴えられる度にJob Security! 安泰だね。と笑われていたものだった。悲しいことにその状況は私がいまの勤務先に入社して5年が過ぎても変わらない。おそらく、米国の制度とか法律がよっぽど変わらない限り変化がないだ…

ケンカにならないんですか?

産休に入る方の壮行会?があった。個室が売りのお店であったところ、席のスペースにあまり余裕がなくて(個室をたくさん作る必要があるので必然的にこうなりがち)、7人で一つのテーブルを囲んで会話が遠いということが全くなかった(苦笑)。それはそれで楽…

コストアップ要因

米国での侵害訴訟代理人弁護士が来日したので、顔合わせと案件の打合せミーティングを行った。メールのやりとりだけでは見えてこないこともあるので、やはりF2Fでやっておくことは重要だな、と改めて思う。TV会議もできるといいんだけど。その中で、一般論と…

事情聴取というか

とある案件に関連する部門の担当に、電話で『ちょっと事情が聞きたいんだけど』と申し入れたら、『すぐそちらに行きます!』と返された。そして当方フロアの打ち合わせスペースに着席するなり緊張した心持ちで取り調べっすか?!っていったいどんなイメージ…

書いてみると

少し前になるが、BLJ(ビジネスロー・ジャーナル)の2013年3月号に「紛争解決における効果的なリスクの取り方」(米国弁護士 一色太郎氏 著)という記事があった。同著者による同旨の記事は、2012年2月の知財管理誌P141にも「米国訴訟マネジメントについての考…

Giving authority

何度かこのブログにも書いているが、特許侵害訴訟で訴えられたときに初動段階で検討する事項の一つが、サプライヤーに契約上の特許保証条項に基づいて責任を追及できないかということである。残念ながらいくつかの理由で、なかなかストレートにそこに収まる…

隔靴掻痒

部品などの供給元とは基本取引契約を結んでいて、まあ当然ながら特許保証条項は普通に入っている。曰く、『供給品が第三者の特許を侵害するとして訴訟等があった場合には供給者の責任において対処し費用を負担する』趣旨のもの。とはいえ、供給品単体で特許…

あたりをつける

同じ会社で知財渉外業務を5年もやっていると、ケースのバリエーションにも限りがあって、だいたい想定の範囲に収まってくる。この『想定』がいつの時点で形成されるかと言えば、実は相当初期の段階で、しかもそれほど外れることがない。とはいえ、それをして…

標準規格必須特許の権利行使

ジュリスト9月号の特集が、標題のごとく『標準規格必須特許の権利行使をめぐる動き』であったため、定期購読していない本誌のため着手?が遅れたけれども購入して読んだ。Jurist (ジュリスト) 2013年 09月号 [雑誌]出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2013/08/2…

知的財産契約と税務

知的財産協会から資料第423号として発行された標題の印刷物を読んだ。ライセンス委員会が2年かけて改訂に取り組んだ力作である。委員長の「発刊にあたって」の中に書かれている 知的財産部門等で技術契約の対応をしていると、頻繁に耳に入ってくるように…

支払うのは誰?

各種の特許ライセンスのRoyalty支払シーズンである。四半期とか半期とか纏めて報告支払が多いので、7月や1月は集中してしまう。しばらく前に組織変更があり、これまで報告書に署名をお願いしていた事業側の役員の管掌が変わってお願いするわけにも行かなくな…

千客万来

係争のDefense担当なんていうものは、完全にreactiveな対応業務であってproactiveにしようもない。ということで、相手あっての物種というか(別になくて良いんだけど)、いつどれだけの件数が発生するのかなんてコントロール外である。しかし不思議なことに、…

手順書

渉外業務が戻ってきて1年ほど、ひたすらこなすのに懸命で、標準化ができていないことは自覚があり、次代の育成も考えると色々手順書やらテンプレートやら整備していかないとね、とか2人きりの担当某氏と話していたのだが、よくよく考えたら、以前渉外だけ守…

秘匿特権判例:Stryker Corp. v. Intermedics Orthopedics Inc. 145 FRD 298, 24 USPQ2d 1676 (E.D.N.Y. 1992)

秘匿特権研修で取り上げられた2つめの裁判例。この判決であげられた秘匿特権の要件は以下の通り。(1) where legal advice of any kind is sought (2) from a professional legal advisor in his capacity as such (3) the communications relating to that …

秘匿特権判例:United States v. United Shoe Machinery Corporation 89 F.Supp. 357, 85 USPQ 5 (D Mass. 1950)

さて、秘匿特権の基本判例としてあちこちで引用される本判決。恥ずかしながら初めて原文を読んだ。さて、まずは秘匿特権が認められる趣旨について、People's Bank v. Brown, 3d Cir., 112F. 652 を引用して、以下のように述べている。In a society as compli…

特許侵害訴訟で秘匿特権が扱われた裁判例

弁理士会の研修「米国の弁護士-依頼人間の秘匿特権-米国特許訴訟において日本弁理士と依頼人との間のコミュニケーションに関し秘匿特権を行使するための態勢はどうあるべきか」で取り扱われた裁判例の一覧を覚えのためにここに入れておく。United States v. …

attorney-client?

弁理士会の研修で、弁理士と依頼人とのコミュニケーションに関する秘匿特権をテーマにしたものを受講した。その内容とか裁判例とかは特に特許侵害裁判に特化していて参考になったので、別途エントリーを挙げようと思っているのだが、ちょっと個人的に!!と…

一部訂正:Royaltyと税金

とある訴訟の後始末をしつつ、ふと、特許の過去実施免責のみ(将来ライセンスなし)の契約対価(要するに和解金なんだけど)って、会計上は資産じゃなくて経費になるのは明らかなんだけど、支払が海外の場合って源泉税の対象になるんだったっけ?ならないん…

中和なのか?

当社の知財渉外は、とんでもない件数を2人ぼっちで回しているため、絶賛人材募集中である。一応上司から人事に申し入れはしているんだけど、それも折に触れてプッシュはしているんだけど、なかなか実現しない。辛抱たまらん感じの昨今。それはともかく、新…

Texas Local

米国で特許訴訟を起こす場合、原告有利な裁判地として著名なのがテキサス東部地区(United States District Court Eastern District of Texas:E.D. Tex.)。ということで、かなりの割合のNPEがここで提訴する。それは、AIAが成立してひとまとめに被告に多く…

悩ましきLitigation Hold

過去2年ほど比較的落ち着いていた米国での訴訟がここへきてなんだか盛り上がりを見せていて(泣)、頻繁に訴状とご対面する羽目になっている。米国で訴訟当事者になるということは、好むと好まざるとに関わらず、訴訟ホールド(Litigation Hold)へ対応しなけ…

オファーの裏側

知財渉外をやっていると、提訴連絡よりも高頻度で警告レターを受け取る。レターの書きぶりというのは様々で、いかにも警告状でございますという強面なものから、興味があればライセンスしますのでご連絡下さいのような柔らかい感じのものまで色々。とはいえ…

「知的財産に携わる人のための標準民事手続法」

知財クラスタではいまや基本書として知らない人がない『標準特許法』の著者、高林先生の標題の本。知的財産に携わる人のための 標準民事手続法作者: 高林龍出版社/メーカー: 発明推進協会発売日: 2012/12/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見…

「パテントプールを巡る諸課題に関する調査研究」

特許庁が行っている産業財産権制度問題調査研究の平成24年度テーマの一つであった、標題の調査研究をようやく読了。報告書のサイズが示すとおり、膨大で((本編だけで195ページ)、印刷はやめてiPad miniに落として読むことにした。内容も濃いものであったの…

AIA完全施行後セミナー その2

さて、標題セミナーの後半。AIAは、先願主義?への移行が目玉扱いされているけれども、特許訴訟という観点で見ると、特許発行後の見直し制度が大きく変わったことがとても大きい。これらは、(1)Post-Grant review (PGR)、(2)Inter-Partes review (IPR)、(3)C…

A crazy patent troll ?!

色々と新しい手口を編み出してくる米国のNPE(Non practicing entity)。2011年には、メーカーでなくその製品を使っているエンドユーザー(さすがに個人ユーザーではなくスモールビジネスとか)を大量に訴えるところが登場し、製品メーカーが反訴したりして…

侵害訴訟実務研修

めずらしく、土曜日午後それも1時〜6時の長い研修だった。副題が、「今だから話せる訴訟アレコレ」で、パネルディスカッション形式の3人の弁護士講師、うち2人は三村元判事と小松陽一郎弁護士で、どうかんがえても掛け合い漫才風の、ぶっちゃけトークが炸…