知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

渉外

警告状の差出人

弁理士会主催の『付記弁理士10周年記念シンポジウム』に行ってきた。後半の部は、付記弁理士7人でのパネルディスカッションで、その中で、『付記(注)の前と後とで違いは?』という質問があった。(注)付記:特定侵害訴訟代理業務の付記が弁理士登録に付され…

付記弁理士制度10周年記念シンポジウム その2

シンポジウムは、基調講演のあとパネルディスカッションという形で行われた。基調講演は、知財高裁の飯村所長と弁護士の吉原省三氏(どちらも30分程度)、パネルディスカッションは付記弁理士7人によるもので2時間程度だった。飯村裁判官の基調講演は、「付…

付記弁理士制度10周年記念シンポジウム その1

弁理士会の主催で、標題のシンポジウムが開催された。『付記弁理士』というのは、平成14年(2002年)の弁理士法改正で、第六条の二 弁理士は、第十五条の二第一項に規定する特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、かつ、第二十七条の三第一項の規定によりその旨…

日米租税条約とLLC

昨今米国で特許侵害訴訟を提起してくる非事業系の会社(Non Practicing Entity: NPE)は、大半がLimited Liability Company (LLC)である。こうした会社と判決前に和解してそれなりの和解金を支払い、訴訟を終了させるということが多く行われるのだけれど、この…

弁理士会中央知財研 研究発表会

標題の、弁理士会の会員向け研究発表会に行ってきた。今回の研究発表会は、中央知財研究所が複数走らせている研究部会のうち、関西で行っている『知的財産権侵害に基づく差止め請求権を巡る諸問題』を研究課題とする部会の発表で、京都大学の愛知(えち)先…

セミナー『知的財産分野のいくつかの悩ましい問題に関する勉強会』

経済産業調査会主催の標題のセミナー、講師の高橋雄一郎先生から告知があった直後に申込みして本日行って参りました。取り上げられたのは、案内ページにもあるとおり、1.お客様から厳しい特許保証を要求されている 2.パテントクリアランスは、正直、どこ…

租税条約の届出書

とある案件の支払について、租税条約の届出書の作成をしていた。これ、「我が国と租税条約を締結している国の居住者(法人を含みます。)が、支払を受ける工業所有権又は著作権等の使用料について、租税条約の規定に基づき源泉徴収税額の軽減又は免除を受け…

ドイツ特許訴訟セミナー:ドイツ連邦特許裁判所

周知の通り、ドイツは侵害裁判所で特許の無効を判断することができず、その判断を求めるには連邦特許裁判所に訴えなければならない。ドイツ連邦特許裁判所は、ミュンヘンにあり、1961年7月1日設立。裁判官112名は、法律系と技術系に分かれ、前者が47人、後者…

ドイツ特許訴訟セミナー:侵害裁判所の審理

今回は、ミュンヘン地方裁判所を例とするドイツの侵害裁判の手続きについて。講師のミュンヘン地方裁判所判事(Dr. Oliver Schön)によれば、最近ミュンヘンでは新しい手続きの仕組みを作ったそうで、その目的は、侵害訴訟の裁判地としてミュンヘン地裁の人気…

ドイツ特許訴訟セミナー:なぜドイツなのか?

各講師の話を要約しようと思ったが、重なる部分も大きいので、理解した範囲でテーマごとにまとめてみる。欧州での特許出願は、各国よりは欧州特許庁(EPO)へ出願することが(日本の出願人にとっては)一般的だろう。38の加盟国について1つの出願手続・…

ドイツ特許訴訟セミナー

特許庁委託、ジェトロ主催の標記セミナーに行ってきた。現職では、幸か不幸か欧州での訴訟に遭遇したことはなく、まったく知識も常識も不足しているというか全然持っていない状態なので、全体像を見せてくれそうな案内を頂いて早々に申し込んだ次第。講師陣…

Patent Troll のイメージ

最近立て続けに、ある意味パテント・トロールと同じです。とか、パテント・トロールよりたちが悪い。とかの評を見聞きして、違和感を感じたので書き付けておく。これらの評者は、前後の文脈からすると、パテント・トロールを、詐欺まがいの悪質な手口で商売…

再開

夏休みも終わり、お仕事再開。休みの間にいくつか下ごしらえしておいたので、なんとか本日は朝から全力稼働。なにしろ米国にはお盆はないので色々督促が入ったりして、慌てて役員の間を駆け巡り、印鑑をもらって歩く。そして別の役員から質問という形式を取…

Reasoning

特許係争やらライセンス交渉というのは、自分の主張を通すためにどちらもそれなりの理由付けをして争うわけなんだけど、この理由付けの隙のなさというのにもレベルがあるなぁ、と改めて思う昨今である。業種がらというか時流の流れというか、アメリカでNPEを…

一字一句の重み

渉外リハビリ中、のはずなのだが、なんだかいくつも同時に活性化していて真っ赤に燃える石炭でお手玉をしている気分の今日この頃。高く高く頭上に投げないと〜。その間にやることはいっぱいあるんだからね、ってなんのこっちゃ。さて、久しぶりに裁判所(米国…

ブーメラン又は出戻り

ここ2年の間に組織編成が変わったり人の出入りが激しくあったりして、知財関係業務の配分は色々乱れ飛んで?いたわけだが、ここに至って商標が戻って来て、さらに係争渉外も戻ってくることが確定。いやまあ知財は知財が全部まとめて面倒みるべきだというのが…

代理人を立てるということ

訴訟となれば当然、そうでない紛争であっても、相手方と直接ではなくて代理人を介してやりとりすることはよくある。元々相手が代理人名で書状を送ってくる場合はたいていそれに合わせてこちらも代理人名で送付するし、そうでない場合でもあえて代理人を噛ま…

千客万来

好むと好まざるとに関わらず、舞い込むものは舞い込むし、こちらの都合は構っちゃくれないので、間隔が開くこともあれば立て続けになることもある。平均間隔とか頻度予想とか傾向とかを問われたりすることもあるけど、いったいそれにどんな意味があるのか不…

レスポンス

現在の職掌だと、知財渉外案件は、前線が法務で技術面のバックアップが特許という位置づけになっている。相変わらず案件の数が多いので、協力してことにあたらなければならない割合も多い。(とはいえ、法務側からすると5割がこれで、一方特許からすると2割…

Multi-Disctrict Litigation

昨日の米国代理人話の続き。従前のエントリーでちらと書いたように、America Invents Act(AIA)成立後、「同一の特許を侵害している」ことのみをもって複数の被告を1つの訴訟事件で訴えたり、1つの訴訟事件に併合したりすることができないこととされた(§29…

利害の一致と相違

訴訟にずらずらと被告が並ぶような場合には、よくJoint Defense Groupが結成される(その内輪ネタとして秀逸なのがこちら)。いうまでもなく、被告としては非侵害なり特許無効なりで勝訴するのが文句なし最大の利益で、これはどの被告でもまあ共通している。…

お〜そ〜い〜

特許侵害訴訟と無効審判を並行してやっている件があるのだけれど、なんだか存在を忘れそうになるくらい音沙汰がなく(来るべき書類がちっとも来ないのだよ)、ふと気がつくと期日数日前だった(ってほんとに忘れるな>自分)。慌てて各方面に問い合わせてみたと…

俎上

種々の事情で、自分のメインフィールド外で交渉事を行っている。いままでのメインフィールドでの経験から、およそ交渉というものは、こんな風だと考えている。(1)攻撃防御に使えそうな手札をバリエーション豊富に揃える (2)相手の札をこれもバリエーション豊…

審決取消訴訟提起後の訂正審判請求の禁止

さて、4弾目後半。ご存じの通り、無効審判の特許庁係属中は訂正審判請求ができない(代わりに訂正請求)が、その無効審判の審決に対して取消訴訟が適された場合は、提起後90日以内に訂正審判請求をすることができる。一体全体なんでこんな訳の分からない取り…

改正特許法施行前セミナー:再審制限

改正特許法施行前セミナー第4弾にして最後、にしようと思ったのだが、長くなったのでこの項は2分割。本セミナーは、4つに分けてなされたのだが、この最終講演が最も面白かった。なにしろ講師の元裁判官某弁護士のぶっちゃけトークが・・・。さて、再審制限…

改正特許法施行前セミナー:通常実施権の当然対抗制度と残された問題

改正特許法施行前セミナー第3弾。通常実施権の当然対抗制度は、まあ産業界、特に電機業界に身を置くものとしては悲願という位置づけだったわけで。あんな登録制度使えっこないだろ!と思いつつ、あまりに抵抗が強いものだから、こりゃどうやっても改善はされ…

改正特許法施行前セミナー:国際裁判管轄

さて、某法律事務所のセミナー特集、2回目は国際裁判管轄。特許法の改正ではないけれど、けっこう関連するだろうと言うことで、あちこちで同時に取り上げられている国際裁判管轄規定の新設。ちなみに、特許法の改正が、平成23年法律第63号で、この国際裁判管…

Patent Notice あるいは 予測可能性

現職裁判官が講師をされる研修会に行ってきた。題目は、知財訴訟における裁判所の運用関係であり、特にマニアックなものでもなく、取り上げられた内容も、最近の法改正や重要な裁判例などを中心としたオーソドックスなものだった。とはいえ、同じ内容であっ…

Acronym

米国特許の中間処理をやっていて、引例を読もうとしたら、いきなりサマリー冒頭から説明もなく「MN」「AP」「SCM」(以下続く)等のAccronymの嵐。はい〜?!フルスペルアウトはどこへ行ったんだよ!と怒っていたら、解析担当が、それ、Continuationじゃあり…

いつか来た道

特許侵害訴訟の裏側には、多くの場合サプライヤーとの補償交渉が存在する。自前で作成実装した部分についての特許であれば諦めもつくし、なにより自分で作ったんだからいくらなんでも中身がブラックボックスで分からないなどということはない。部品やモジュ…