小さい会社の割に係争が多いので、渉外グループは3人(私、中堅どころの右腕部下A、若手の左腕部下B）で両手の指では数え終わらない数の特許係争案件を回している。毎日少しずつ順番に1件1件こなしていけると平和だが、相手のあることでもあり、裁判所も噛んできたりして、処理期限は個別に色々設定される。
ある日突然期限が迫ってきたり、相手に投げておいたボールが突如返ってきてすぐ投げ返さないとまずかったり、音沙汰がなかったのになぜか急に動きが盛んになったり、色々あるのだが、それが個別事情で起こるので、案件の繁忙期が重なることも珍しくない。
和解交渉の山場が同時並行で進行していて、どれもこれも今月中に片を付けろと相手に迫られている、なんてことも悲しいかなしょっちゅうあるので段々感覚が麻痺してきたりする。
そしてアメリカ相手だと、なにかにつけてタイムラインがきつい。即断即決、相手にもそれを求めてくる場合が多いので、ちんたら社内調整をしていると間に合わない。毎回根回ししまくって、稟議書もって駆け回らないと要求期限に間に合わなかったりして、間に合わないと今の条件は撤回です、とすげなく言われたりするわけだ。
条件が合意に達し、その社内決裁を取って、さて契約書となるころには、条件は詰まっているのだから契約はいつ締結できる?1週間後?とか平気で言われる。で、契約ドラフトが相手から出てきて(特許権者はライセンシーに起草させたりはしてくれないので)、その中に契約期限は1週間後で支払期限が2週間後に設定されていることもよくあるわけ。
社内規定ですべての契約書は法務部の審査を通ることになっているので規程に則って審査依頼をかけたら、
と怒られた。なんとかなるくらいなら最初からなんとかしてますわ・・・。期限超過で条件撤回されたらあんた責任取ってくれるんかい！と切れそうになって思いとどまった。もう頼まんぞ。そんなタイトな期限では到底審査できません。そのたびごとに他の件をすべてうっちゃって最優先でするわけにもいきませんので。なんとかならないんですか?
そんな日々の中、毎日湧き起る各種案件のタスクを部下に振り分けていたら、あれ？昨日頼んだタスクのアウトプットが出てこないぞ?いやあの、社内向け文書だからといって自動的に後回しにしないでください。外部のメールに応答するのも重要だけど、それだけじゃ回んないんで。社内調整しないとGOかけられません。うーん、すべての指示に期限をつけて、アウトプット前のタスクが他にもあったらそのたびごとに期限設定と優先順位のやり直しをしなきゃダメか?
つーか、並行処理して全部昨日のうちにアウトプットが欲しかったんですが。ひょっとして、あなた、シングルタスクマシンですか？それではこの仕事は回らないのではないかと思うのですが・・・。
自分が疑似マルチタスクタイプなので(一度に本当に並行して複数件はできないが、細切れにあちこち違う仕事をやっても平気。同時にアウトプット期限が来てもオッケー)、１つ１つまとまった時間をかけて完成させないと次に進めないというのが時に理解の範疇を超えるんだよね。でも、特許事務所で明細書を書いていると、基本的に1つにかかったら完成するまでその件なので、シングルタスクマシン化しやすいように思う。そして、上の？？と思った部下Aは、特許事務所出身なのであった。
ちょっと仕事の指示方法を考えさせられた本日だった。
