知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

引当金の見直し

昨年度の決算時というか今期の予算策定時に特許訴訟関係で見積もりをし、訴訟損失引当金を組んだ。引当金を実際に組んだのはもちろん経理と監査法人で、私がしたのは見積に基づいて予算を立てただけなんだが。

で、今期も第一四半期が終了し、経理から向こう1年分の引当金の見積もりをして下さいと依頼が来た。知らなかったがローリングでやるのね。

で、4月以降の訴訟の動きに従って見積しなおして提出したら、何でこんなに下がったんですか!?と問い詰められた。いやだって、和解したものも、Dismissしたものもあるんで。予算時点では確定してませんでしたから。費用を最小に抑えるのが私のミッションで、この1年あまり、それで会社からは評価されてるんですが。

要するに、引当金を積んだあげく、使わなかったからと戻入れする場合、昨年の利益を今期に繰り越してくる効果が出てしまうわけで、それがたかだか3ヶ月で起こるといかにも利益操作のように見えてしまうというわけだ。

ちょっと考えさせられた。

引当金は、前職でもやったことがなく、初めての経験となった。見積は、根拠を明確にするために全部弁護士に見積をとってやったけれども、先の見通しが確定していない訴訟の場合、予算枠をキツくはめられるのは誰しも嫌なので、どうしてもこの手の見積は多めになる。さすがに多すぎるよな、と思ったものは私が適宜削ったけれど、予算という観点で考えれば、こちらも予算超過で特別予算申請とか稟議書とかなるのは嫌なので、こちらもどうしてもコンサバ=多目になる。数ヶ月で和解して終わらせるぞと意気込んだところで、相手があることだから、絶対はないからね。

でも、引当金という観点でみた場合、同様の見積り方をしたのでは、発生の蓋然性が高いとは言えないレベルなのかもしれない。逆方向にコンサバに振る必要があったのではないか。

といいうことは、予算と引当金を連動させようという発想にそもそも無理があったんではないかなぁ。と思ったことだった。次年度以降どうするのかしらないが(そしておそらく今年度中に渉外は私の手から離れそうなのだが)、ちょっと考えた方がよさそうだ。といいうことで覚え。