知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

感染

息子1号が14歳になろうとしている関係で、世の中にある14歳の〜という手の本が目に付くようになり、読んでみたのが、宮台真司『14歳からの社会学』。

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に

その中に、学ぶ動機として、『競争動機』、『理解動機』とならんで『感染動機』があげられている。直感でスゴイと思った人に乗り移られて、その人だったらどう思うか、どう考えるか、その人は世界をどう見るかをシミュレーションする。徹底的にその人の視点から理解する。この感染動機での学びが一番内発性が強く、一番身につくと言われている。『こんなスゴイ人に自分もなってみたい』という動機だから、持続性が高く、動機も強いということのようだ。

ここまで徹底した『感染』でなくても、仕事の上で、若いころには『この人のようになりたい』『この人がするような仕事ができるようになりたい』という思いをもてることはとても重要で、それによって仕事の力が伸びていくのだろうと思う。

思えば、初職の上司に対して、自分は『感染』していたな〜、と思う。もちろん人生をどう考えるかという広い話ではなくて、自分の部署が与えられている仕事のミッションに対してどう取り組んでいくか、どう考えるか、という話だ。

その当時、特許ライセンスから始まった『技術法務』はまだ社内で仕事として認知されたばかりで、今思い返しても試行錯誤な時代だったと思う。そこで成果を上げて社内で評価されるために色々なことをしていたわけだけれども、まあ端から見ていてもそれなりにマネジメントから評価されているのが伝わってきて、また、内容がかなり大きな話にどうしてもなることが多く、自分の想像の範囲を超えてしまうようなことも遂行していく姿が『スゴイ』と思ったんだろうなぁと思う。長らく彼のやり方は私の中で手本となり、反芻されて自分の身についたと思う。

何も分からずに入ったこの業界でこんなに長い間仕事をすることになろうとは、最初の出会いで感染できたのがきっとラッキーだったのだろう。