知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

悩ましきLitigation Hold

過去2年ほど比較的落ち着いていた米国での訴訟がここへきてなんだか盛り上がりを見せていて(泣)、頻繁に訴状とご対面する羽目になっている。

米国で訴訟当事者になるということは、好むと好まざるとに関わらず、訴訟ホールド(Litigation Hold)へ対応しなければならず、日本のしかも中小企業にとっては大変負荷が重い。

要は、訴訟に関係しそうな文書が適切に保管されて訴訟の場に提供されることを担保するために、訴訟になったら(というか、なりそうになったら)すぐにそういう疑いのある文書はきっちり区別してちゃんととっておいてね、ということなんだけど。

そのための通知(Hold Letterとか言う)は、米国弁護士に言えばすぐにそのケース用のものにカスタマイズしてドラフトしてくれるけれど、米国子会社はともかくそれを日本の開発現場とかにばらまいたところで目的が達せられるはずもなく(嘆息)。英語の問題もないとは言わないけど、ああいうかたちで社内文書は日本の会社では出さないでしょ、というシロモノなのが大きい。

とりあえず出しておかないとまずいということで、出す方を優先してみたこともあるのだけれど、案の定現場から

結局一体何すりゃいいんだよ!

と怒号の嵐であった。実施できるレベルまで落として通達しないとダメってことですな。当然なんだけど、訴訟の対応に追われているとそこまでやっている余裕はなかったのだよ(当時)。

で、悩ましい状況は今も昔もあまり変わらないのだけれど、一応幸か不幸かすっかり慣れてきているので、身の丈にあった方法で対応しようとしている昨今なのであった。法律の要求には応えつつ、過大な負担にならないように配慮しつつ、ディスカバリーになってから慌てなくてもよいように一応配慮しつつ。

難しいのは、ディスカバリーに入る前に相当量のケースを和解で落としてしまうので、あまり最初からそれを見越した動きをすると無駄に終わってこれも不評を買うと言うことだったりする。バランスがね〜、大事なんだけどね〜。わかっているけど、ケースごとに違うんだよな。