知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

記録の保存と立証

今月号のビジネスロー・ジャーナル。BLJには珍しく、知財系の記事がほとんどなかったので、特に取り上げるネタもなくぽぇ〜と読んでいた。

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2013年 07月号 [雑誌]

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2013年 07月号 [雑誌]

が、「企業法務戦士の雑感」で今月号の書評が載ったので読んだところ、

伊藤雅浩弁護士の「システム開発プロジェクト推進中の法的留意点」(26頁)という論稿では、プロジェクト推進過程における「証拠づくり」という観点から、よりリアルな第一線法務のテクニックが語られていた

とあり、現在渦中の契約トラブルでまさにここに苦労しているだけに、身に浸みて思わず当該特集を読み返してしまった。

もちろん、契約に基づいて開発業務を行っているのであれば、それがうまくいかなかったときに備えて立証できるような形で記録を残しておくというのは相当程度手間暇掛けてやっておいた方がよいことなのだろうけれど、全ての契約関連のオペレーションでこれがどの程度できるかというと、トラブルが発生する可能性(発生率)の見込みに依存せざるを得ないし、そうでなければオーバーヘッドコスト高すぎで利益を圧迫してしまう。

とはいえ、現場がその発生率をいつも考えて行動して(記録を保存しておいて)くれるかといえば、まったくそんなことは(当然ながら)なくて、トラブルになってから、あまりの証拠候補の少なさに唖然とすることも少なくないのであった。

有事に備えて記録を取っておく、なんてことが常に実行できなくても、何かトラブったら自分の主張を認めてもらうにはそのための証拠が必要になる、そうでないと真実がどうであれそんなことはなかったとみなされる、ということが、こんこんとそのたびに諭されなくても、自分で考えて分かるようになって欲しいものだ、と時々切実に思うところである。

ま、本業の特許侵害訴訟では、めったにこんな必要性に迫られたりはしないのは幸いというかなんというか。