知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

一部訂正:Royaltyと税金

とある訴訟の後始末をしつつ、ふと、特許の過去実施免責のみ(将来ライセンスなし)の契約対価(要するに和解金なんだけど)って、会計上は資産じゃなくて経費になるのは明らかなんだけど、支払が海外の場合って源泉税の対象になるんだったっけ?ならないんだったっけ?と疑問が生じた。嫌と言うほどやってきた実務の話なんだけど、そもそも久しぶりだったのと(過去将来込み込みのケースが当然ながら最も多い)、時代によって解釈が変わったりすることもあるので、時々分からなくなる。

で、ぐーぐる先生に、「Royalty 源泉税」とか入れて検索したところ、このブログの過去記事がトップから2つめとかに出てきて萎えた。進歩してないし、自分。

でも結構昔の記事なので、読み直していたら、あれ?と以下のくだりが疑問になり、さらに検索。

ライセンスの対価=Royaltyは、租税条約にいうところの『使用料』に相当するため、基本は源泉税の対象になる。これが『和解金』ということになれば、それは『使用料』ではなく、従って源泉税の徴収義務もない。

確か、和解金名目でも、将来でも過去でも、税務署的に見ればそれは実質的には変わらないので「使用料」だと言われた気が・・・。この記事を書いた後の話だったか??(汗)

で、検索の結果、国税庁のページで、「第10 非居住者又は外国法人に支払う所得の源泉徴収事務」というところがヒット。ここの、「II 源泉徴収の対象となる国内源泉所得と源泉徴収税額」の「1 所得税法に基づく源泉徴収」「(1) 源泉徴収の対象となる国内源泉所得の範囲」の表4に、「使用料等(所法161七)」が挙げられており、これは、 

国内において業務を行う者から受ける次の使用料又は対価で、その業務に係るもの(所令284)
 工業所有権等の使用料又はその譲渡による対価
 著作権等の使用料又はその譲渡による対価
 機械、装置及び車両等の使用料

とされ、さらに、注記で、

(注) 所得税法第161条第1号の2から第12号までに掲げる対価、使用料、給与、報酬等(以下「対価等」といいます。)には、その対価等として支払われるものばかりでなく、その対価等に代わる性質を有する損害賠償金その他これに類するものも含まれます。また、「その他これに類するもの」には、和解金、解決金のほか、対価等の支払が遅延したことに基づき支払われる遅延利息とされる金員で、その対価等に代わる性質を有するものが含まれます(所基通161-6の2)。

と、ばっちり書いてあった。

ということで、過去記事訂正。要するに、特許侵害警告や訴訟の結果和解して結ぶ契約によって支払う金銭は、その名目が契約にどう書かれていようとも、それが過去の行為に起因するものであろうが将来のためのものであろうが、特許の実施にかかる料金であり、「使用料」となる。ということで、源泉義務がある。

ということは、漏れなくあの免税特典を受けるための書類地獄に突き落とされるというわけだな。。。