知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

『採用基準』伊賀泰代

遅まきながら読んだ。出版された頃に話題になっていたのはもちろん知っていたのだけれど、なんとなくそのときには手に取る気にならず、そのまま読みそびれていたもの。連休ということで夫と近所の書店に出かけたらまだ数冊平積みになっていて、『ああそういえば読んでなかった』と思い、併設のcafeに持ち込んで一通り読み終わったので買わずに出てきたのだが、やっぱり読み返したくなって、Kindle版を購入したのだった。

採用基準

採用基準

出版から時間が経つと、電子版が出ていてそれはそれで便利かもしれない、等と思ったりする。

書名は『採用基準』なんだけど、中身はリーダーシップ論だった。読み返したくなったというのは、こんなところが整理されてかかれていてとても腑に落ちたので、手元に置いておきたくなったということ。

リーダーシップを考える時、常にセットで考える必要があるのが「成果主義」なのです。成果主義とは、「努力でもプロセスでもなく、結果を問う」という考えであり、成果主義を原則とする環境でなければ、リーダーシップは必要とされません。
(中略)
リーダーとは「成果目標を達成するために組織を率いる人」です。
(中略)
リーダーは組織の和よりも成果を出すことを優先します。
(中略)
結局のところ、メンバーがリーダーにどこまでついて行けるかということは、「その成果を出すことに、それぞれのメンバーがどれほどコミットしているか、成果を出すことを、みんながどれほど重要だと思っているか」にかかっているのです。

マネジャーは管理者です。求められる業務は、部下の労務管理であり、組織内の個々の仕事の進行管理や品質管理、そして予算管理です。
三名の組織ならマネジャーは不要です。管理が不要だからです。しかし、三名の組織でも、成果目標があればリーダーは必要です。リーダーシップを発揮する人がいないと、目標は達成できません。一方、構成員の規模(人数)や仕事の領域が一定範囲を超えれば、特に成果が問われる状況ではなくても、管理職は必要となります。

なるほど(遅いし)。もやもやしていたのがすっきり整理されて気持ちがよくなった。特に、組織において、他部署の管掌部分について不適切であると思うことがあっても越権とか干渉とかと思って手控えていたのだけれど、それは全社的な目標を考えたらおかしいのであって、リーダーシップを発揮して成果を向上させるのが適切であるというところには感じていた違和感の正体が明らかになって腹に落ちた。が、これを日本的土壌の中でやるのは確かに骨が折れるな〜。覚悟が要る。しかし、しっかり頭にとどめておこう。