知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

パテントトロールのビジネスモデルはそろそろ成熟期なのかも

RPXのKyoto Conferenceに行ってきた。参加はInvitationベースのようなので、詳細は記載しないけれど、普段考えていることというか、訴訟を通じて推測していることが概ね当たっていてやっぱりそうだよな、と思う反面、この規模で分かってしまうってどうなの、と暗い気持ちになったりもした。

とはいえ、配付資料を見ていると、ダントツで訴えられる件数が多いAppleで年間50件強(週1ペース)、2番手グループのSonyとかになると30件弱の隔週ペース。多くの会社は規模にかかわらずグラフの底に貼り付いている状態で、要するに年間1件訴えられただけということのよう。

ということは、複数件訴えられるだけで『多い方』に入っちゃうんだな、きっと。

ともあれ、スピーチやパネルディスカッションを聴き、帰ってから昨年の配付資料も見直したりしてつらつら思ったのは、ここへ来て色々なところからトロールについて分析したり問題提起したりするペーパーが続々出てきていること、洗練されているように見えてそれほどパテント・トロールのビジネスモデルが効率がよい訳でもなく、上場しているところの株価の評価もあまりよろしくなかったりすること、などの状況を見ていると、そろそろこのビジネスモデルも成熟期というか爛熟期というかになっていて、もう少しすれば衰退期になるんじゃないかな、という(多少の期待を込めてもいるが)。

今の勤務先に転職して来て5年半、当初からトロール訴訟に関わっているけれど、以前ほど権利行使側にとって「おいしい」ところは過ぎ去ったように感じるし、ここまで業界の外からも注目されて問題視されるようになったのは最近になってから。ということは、おそらく『ここが儲かりそう』と他人の行動をみてから真似するタイプがどんどん出てくる状況になってきているわけで、そうなるともうあまり長くは利益が出なくて続かなくなるんじゃないかな。全くゼロにはならないにしても、とか思ったわけである。

いずれにせよ制度の歪みが産み出した徒花なので、恒常的に定着していくわけではないだろう。だからといって対策を講じずに放置して良いわけではなくて、そういった施策とその効果も入れて終息に向かう感じになるのでは、ということなんだけど。

とはいえ、個々の会社レベルのミクロベースでは、数はさっぱり減っていなくて悲観的。