知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

12月2日の知財渉外

本日は、東京支店から2人出張で本社へ。

■午前
e-Discovery対応のため、情報システム部門と打合せ。米国民事訴訟法で昨年から電子データの証拠開示が義務付けられて、一段と対応が厳しくなった。社内のDocumentはいまや大半が電子データになっているので、うまく管理してうまく抽出できればきれいにいくはずだけれど、それがなかなかという問題。日本企業は多かれ少なかれこの手の問題を抱えていると思うけれど、文書管理の現場はほとんどカオスとなっている。ポリシーを策定しても、現場が守らない。この手のことは徹底されないとまったく意味を成さないのだけれど、そう理解しているマネジメント層は多くなく、業務を優先して放置されることが多い。これで訴訟に負けたり高額のペナルティをくらっているケースもあるのだが、あまり説明してもピンときてもらえないようで。

とりあえず、今回の打合せの目的は当社のITの現状把握なので、目的は達成されたことになるのだが、案の定カオスで大変だね、ということが確認されたに過ぎない。この先どういうふうにしていくかはかなり考えて行動しないとまた痛い目にあうよね。

打ち合わせ中、情報システムの次長さんから

これ(文書保存義務Litigation Hold)は法律上の義務なんですか?

と聞かれたが、正確には法律上の義務じゃなくて訴訟にかかったときの訴訟手続き上の義務。しかし、悲しいかな当社はここ数年切れずに米国訴訟の被告になっているので、ずっと義務が継続しているというわけで、法律上の義務に等しい作用がある。

■午後
今後の戦略のブレスト。そうそういつまでも専守防衛のもぐらたたきの火消しばかりやっているわけにもいかないので、今後の当社知財はどうしていくのか?海外は?という話も含めてざっくばらんに色々とアイデア出し。この前提として、会社の事業戦略とか、競合各社の状況とかの下調べをしておくわけだが、競合各社の状況が似たりよったりというのはいいのかわるいのか。当社の状況がお寒い限りであるのは確かで、それをなんとかしないと今後はまずいよね、と訴えたいところなのだが、似たようなセグメントで同種製品を売っている競合さんも似たようなレベルだということ。ここから抜け出すよいチャンスだと考えるのか、別にんじゃ知財が重要な領域じゃないんじゃないの?と結論付けられるのか(金食い虫なので、そう結論付けられる恐れは高い)。

問題は、市場的にはそんな感じでも、技術的にはもっと大手でハイエンド製品を扱っている巨人が握っているということで、そこと喧嘩したくはないけど喧嘩を売られたときの対抗策はなんかしらあった方がいいよねぇ、という話。

■そして夜
知財部忘年会。夫がいきなり海外出張に出てしまったので、やむなく子連れ参加。まあでも無理にでも参加した甲斐はあったということで。