知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

訴訟損失引当金

少し前にTwitterで渉外予算について愚痴ったりした。当社の知財部は所帯が小さいので、グループは2つあるが、一般経費はグループで分割していない。渉外が持っている予算は支払手数料のみ、すなわち訴訟・警告などの紛争にともなって発生する弁護士費用のみである。

で、この渉外予算を1年間分見通して予算化することが求められるわけ。正直なところ、案件の行方なんて色々なバリエーションがあり得、大詰めを迎えていればともかく、始まったばかりのケースなんてどう転ぶかさっぱりわからない。それをえいやで見積もったりすると、大幅にズレが出て、期中の支払を毎度毎度特別予算で行うことになったり、予算が余って説明を求められたりする。

昨年は、まだ法務部が管轄していたのだが、これを月々の弁護士の所要時間数×平均単価で見積もって計上されていた。半年終了したところでローリング予算の見直しがかかり、そこから私が担当したが、ケースの見通しに従ってびしばし削って今期は予実管理も上々である。

で、来期。なにしろ今期数年継続していた大きなケースを大なたを振るってガンガン終了させたので、いま残っているのは始まったばかりのケースやStayしているケースがほとんど。これを1年分見通せと言うのは正直辛い。ということで、見積もりの根拠を求められるのを嫌って各案件の担当弁護士に見積もりを求めた。

向こうはプロなんだからちゃんと見積もりを出してくれるだろうと踏んだわけだが、見通しが立てにくいのは同様らしく、このくらいのレンジがあるというレンジがやたら広かったり、こんなに今までのケースでかかったことがないよね?という金額になっていたり。コストダウン努力はするが、相手のあることなので万一見積もりを大幅に上回るようなことがあっては困るという意識が働くらしく、どうしても水増し気味になるようである。

それでもなんでも根拠があるのはよいので、とりあえずすべての見積もりそのままに合計して予算を立てたら今期の約2倍になってしまい、予算管理部門から怒られた(笑)。

これって本当に発生するんですか?今期の2倍くらいになってますけど、今後はずっとこの規模になるってことですか?(慌てている模様)

いえ、あくまで見積もりなので、確実には発生しませんが。

不確実なものはNGです。確実なものに絞って予算に挙げてください。その他は発生の都度特別予算にしてもらうようにお願いします。大体今期並みを目処にしてください。

というようなやりとりがあって、まああとは適当に(笑)、大体今期並みになるように調整して提出した。ほとんど鉛筆なめなめの世界である。これで文句ないだろうと思っていたら、今週になって今度は経理から

訴訟損失引当金の計上を検討しています。予算のうち、過去の売上に起因して発生している訴訟・警告等による弁護士費用について、見積もりの根拠を明示していただくようにお願いします。監査法人に説明を求められています。

とか言う話。

いえその、根拠を明示といわれましても。見積もりから削った分の根拠を明示するのは超絶難しいんですが。見積もりそのままじゃダメですかねぇ?しかしあのままの金額で支払う気は私にはないので、絶対引き当ての戻し金が出てしまうよなぁ。それはさすがにまずいか。ううむ、悩ましい。

大体ねぇ、この手の費用は見積もりが難しくてどんぶりなんだってば。金額が大きいのである程度見込みを持ってもらうことが必要だから、都度特別予算は避けたいけれどもさ。