企業知財人材については、資質やらなにやらで思うところが色々あるのだけれど、最近読む機会があった論考に類型が書かれていたので覚え書き。
(出所:特技懇 2007.11.14.no.247 27-34 『企業における知財人材の育成と当社の取組み』松下電器産業株式会社 IPRオペレーションカンパニー 知財開発センター所長 内藤 浩樹)
類型については、まあそうだよね、という感じ。あくまでこれは超大手家電メーカーである現パナソニックさんの例なので、企業の規模やその企業での知財の位置づけ・部門の役割によってだいぶ変わってくるのだろう。当社規模では類型を立ててみたところで未分化でスペシャリストじゃなくて知財ジェネラリスト(スーパーマン?)になってしまうし。(1)知財戦略・企画スペシャリスト
知財戦略および関連制度の策定、事業戦略・研究開発戦略と結びついた知財調達などの企画行政を推進する知財専門家(2)知財調査・分析スペシャリスト
知的財産権を技術・事業面から総合的に調査し、競合他社とのベンチマークからポートフォリオを分析して、事業戦略・研究開発戦略に展開する知財専門家(3)発明開発・権利取得スペシャリスト
研究開発・商品開発において創造された発明について技術者とともに先行技術の調査を行ない、関連する法律や制度にしたがって事業や商品に貢献する強い知的財産権の権利化をグローバルに展開する知財専門家(4)権利活用・ライセンススペシャリスト
知的財産権を全社最適の視点から活用するために、クロスライセンスやプールライセンスなどの戦略的なライセンス活動をグローバルに展開する知財専門家(5)意匠・商標スペシャリスト
ブランドやペットネームなどの商標権とデザインを保護する意匠権の権利化活動と、ブランド価値の向上を目指した模造品対策活動をグローバルに展開する知財専門家(6)知的資産管理スペシャリスト
企業内で保有する知的財産権に関するグローバルな出願、権利等の資産を事業経営の観点から評価・維持管理する知財専門家
そうは言っても、未分化ながらこれらの類型のどこに強みや指向があるか、というのは個々人によって強弱があっておもしろい。そのあたりは、資質とも絡んできて、例えば特許担当の王道は(3)と(2)の類型になると思うが、(2)に強み・指向がある人と(3)にある人は微妙にタイプが異なる。これが、(4)になるとまるで違ってきて、先日Twitterの知財クラスタでも話題になっていたように、『節操なし』だの『腹黒い』だの『不都合な真実に目をつぶって言い張って平気』だの色々言われるわけで。
これらを色々考えつつ、どういう人を採用しようか、社内異動させようか、と悩むのでありました。