毎日『米国訴訟日報』からメール配信される米国での提訴情報を見ていると、頻出する裁判地というのが肌で分かってしまったりする。もちろんAIAの前も後もテキサス東部(Eastern District of Texas: EDTX)が一番人気なのだが、二番手以降は決め手に欠けるというか、いくつか候補があるって感じで。
なぜあんなにもテキサス東部が好まれるのかについては、こんなブログを発見した。まあそうだよね、という印象である。
2012年の統計によれば、テキサス東部の次はデラウェアで、3位はカリフォルニア中央らしい。毎日の提訴情報でよく見るのは、その他にウィスコンシン、フロリダ、カリフォルニアの北部・南部、イリノイあたりか。
AIA導入前、anti-joinder条項がなかった頃は、被告に何にも関係のない複数社をずらずら並べることが通常化しており、共同被告はJoint Defense Groupを結成して、無効資料調査を分担し、ClaimConstruction Briefを協働して作成するというのがお決まりだった。
そして、被告団が共同して移送の申立をすることもよく試みられたけれど、特にテキサス東部ではめったに認められなかった。関係のない会社が全体で移送の申立をしても、事情はそれぞれなんで、移送先の方により関連度が高いということもあまり説得力がないということもあったのだろう。
AIAが導入されて、1件の訴訟に1被告になれば、そこまで管轄裁判所が集中することもなくなるだろうし、仮に同じように集中したとしても移送の申立は認められやすくなるのではないか、という予想もあったように思うが、蓋を開けてみると、結局変わっていない。一日に10件前後の訴訟を同じようにNPEが同じ特許で同じ裁判所に起こしているだけである。
被告としては、同じ訴状の中に並んでいないので、他の被告にどこがいるのか、その被疑製品は何なのかがわかりにくくなっただけ、という話もあったりする。そして、同日や近日に同じ特許で訴えられたケースは、Trialを除いてConsolidateされるのが一般的になっているので、従前同様、Consolidateされた被告間でJDGを結成して同様に協働して諸々行う形になっている。
ということは、一社で移送の申立をして移った場合には 、これらを一社でやらなくてはいけなくなるため、あまり利益がない、という判断なのかもしれない。
結局あまり変わらないな〜と思うのだった。イタチごっこ?