知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

米国代理人来訪

おおむね年に1回程度(たいていは春か秋の過ごしやすい季節に)、米国からの代理人訪問がある。特許法やルールの改正、重要な判決などがあればその解説をしつつ、クライアント回りをする、というのが定番のようである。

現在当社は新規出願については米国代理人事務所を集中させており、全件日本の事務所経由での依頼ではありつつも、直接のコンタクトも取っていて、おおむねコミュニケーションは良好だと思っている。

で、今日はその訪問日だった。前回の訪問時はAmerica Invents Act (AIA)の説明で、なにしろ改正ポイントが多かったので、説明を聞くだけでかなりの時間がかかったのだが、今回は、そこまでのことはなく、また、ルールの施行がまだ(7月予定)ということで、Feeの説明とか、軽めのAgendaだった。

その中でもいくつか上がっていたのは、手数料の値上げ(2013年2月適用。AIA成立すぐに適用になった手数料値上げもあるけど、さらに来る値上げの方)の話で、出願料が大幅値上げ、引き替えにIssue Feeは大幅値下げ、RCEは値上げ、ということで、出願+RCE1回で特許になると、おおよそ現在のFeeレベルに落ち着く、という話だった。RCEがやたらめったら多くなっているのが問題視されている、ということで、2回以上のRCEになると継続出願しても費用的に変らなくなってしまうので、出願人としてはどちらを選択するか戦略的に考える必要が出てきて、その結果RCEはおそらく減少に向かうだろう、とのこと。

RCE絡みでは、他にも、Issue Feeを払ってしまってからIDSをする場合、それが例えばファミリー出願の他国でのOAの引例だったりして、審査官に見ておいて欲しいような場合、これまでだとRCEをして審査を再開させるしか手がなかったのだが、今後は形式としては同じだが、もしそのIDSが審査官が見た後で特にAllowanceに影響がない場合には、RCE手数料は返還されるらしい。

さらに、Finalが出た後でクレームの補正をかけると、どんなにそれが微々たるものでも考慮されずAdvisoryになってしまう運用が多いことはご案内の通りで、補正内容を審査官に見てもらうために補正と同時にRCEをかけるのが通常実務ではないかと思う。ここが、Pilot Planでこういう場合にはRCEしなくても審査官にその補正をざっと見てサーチが必要かどうかを判断できるextraな3時間が与えられる、というのができるらしい。

へぇ〜。でもなんで3時間?と聞いたところ、そもそも審査官は1件の審査に20時間の上限があるとのこと。そのうち大半は最初のOAまでに消費される(たとえば出願内容を理解してサーチするのに18時間とかね)。なので、Finalが出てその後補正されてきても、手持ちの残り時間がないのでRCEに行ってこの時間をリセットしてくれ、という話になる。でも、ここでこの20時間にカウントされない3時間がもらえたら、RCEに行くべきケースなのか、このままAllowanceが出せるケースなのかを判断することができる。この意味は大きいんだよ、とのこと。

などと実務の小ネタが色々仕入れられてためになった。あんまり系統立ててインプットする機会も時間もないので、こういうのは大変助かる。但し、英語の聞き取り能力に依存してしまうので、多少抜けや漏れや勘違いもあるかもしれない。

しかし英語で仕事をしなくなって久しいので、ヒヤリングはともかくスピーキングはさっぱりで、詰まること詰まること。困ったもんだ。