知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

『インビジブル・エッジ』より(2)

メモの続き。

インビジブル・エッジ

インビジブル・エッジ

  • 作者: マーク・ブラキシル,ラルフ・エッカート,村井 章子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/10/15
  • メディア: 単行本
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知的財産の持つ経済要素としての特性 P92-94

 0) デジタル的な性質

ほとんどの経済資源は連続的な需要供給曲線を使って表すことができ、競争力の差は微々たるものに過ぎず、勝敗は数パーセントの差で決する。だが知的財産はデジタル的な性質を持ち、非対称で、生み出すまでに数百万ドルかかったとしても、コピーするのは瞬時にただでできる。知的財産権で保護されている間は巨万の価値があっても、保護期間が過ぎたら何の価値もない。とくに特許の場合には、解決策が発見されるまでにはおそろしく困難に見え、取り組む糸口さえ見つからなかった問題も、一旦答えが明らかになると、誰にでも解けるような簡単な問題と化してしまうことが多い。

 ※他の経済資源との比較はあまり目にすることがないので面白かった。

 1)価値のばらつきがきわめて大きい
  ほとんどのものはまったく/ごく小さな価値しかない。価値の大半は一握りのものから生み出される。

 2)技術の価値は他の技術との相互関連性によって決まる
  →技術単独の価値評価はあまり意味がない

 3)独占権が公開と引き替え

 4)企業の評判を左右する


特に、0)〜2)が特徴として大きくて、それが故に各社とも投資行動を決めかねるという結果が出ているということかと思う。さらに3)により、気づかれないように使うという形で利用のインセンティブが働くこともある程度避けられないため、複雑化しているように思われる。それにまた使っているかいないかの判断が無形であるが故にグレーゾーンが大きかったりするし。