色々経緯があって現状商標業務は担当者が部長直で奮闘している。この担当が、体調不良で暫くお休みになってしまったため、いくらなんでも担当業務まで部長が処理するわけにもいかず、急遽別のメンバーを担当に充てることに。いずれにしても東京支店サイドの話なので、一泊二日でオリエンテーションに来ている。
ここ1年ほどで大量に海外出願をし、あちこちの国で拒絶理由がきたり、先行商標がみつかってその対応に追われたり、かと思えば類似の商標出願をみつけて異議申し立てしたり、その合間に事業部から商標調査依頼がきて悩んだり
という状況なので、色々待ったなしではあるものの、いきなり実務の話をしても迷うだけだろう。上司からも、
と言われたことでもあるので、本当にそもそもの基本に返って「商標とは」から始めた。準備資料はなし。ホワイトボードに思いつくまま殴り書き。ほとんど『若手のギモン商標編』である。細かい話から入らずに、まずは大きなところから把握できるように導入をお願いします
では、商標って何でしょう??
そう。なまえですね。自分の商品を、誰か他の人のから区別するためにつけるなまえです。これを、商標の『自他識別機能』と呼びます。で、商標は、自分の商品の名前ですから、商品に付けなくてはいけません。とりあえず、当社はメーカーですから、商品の話に絞ります。サービスマークは色々ややこしいんで。えっと、モノを特定するための、名前、ですか??
で、例えばABCという商標を当社のXという商品につけたとしましょう。そして、Y社の同種製品はDEFという商標で売られています。という形でお店で売られているとき、ここから何がわかるでしょう?
そうですね。誰が作っているか、誰が売っているかということがわかります。これを『出所表示機能』といいます。。。。誰が作っているかわかる?
てな感じで、品質保証機能、広告宣伝機能と続く。商標は、使い続けるうちに、このような機能を発揮する。こういう目に見えないモノの象徴になる。信用が化体する。だから、使ってナンボ。
では、商標自体はどんなものでできているんでしょうか。単語、記号、図形、立体とか新しいところでは音とか匂いとかも色々言われてますが、とりあえずわかりやすいところで文字や図形くらいまでで考えましょう。ロゴとかね。こういうのを日本の商標法では『標章』とか言ってます。そして、自分でこういうマーク、言葉を自分の商品のなまえに決めて、それを商品に付けて売れば、それが商標です。自分の商品に付けて使ってるこれが商標ね。自分で選択して、商品に付けて使う。これが基本です。その選択した商標が、他人の商標といっしょだったり似てたりすると問題になったりしますが、それは次の次元の話ね。
とりあえず、商標というと、すぐに登録の話をしたがる人が多いので、商標法に行く前の段階を手厚く説明してみた。この後、どういう場合に自分が選択した商標を使うとまずいか(他人の商標との類似の話)、安心して使うための手段としての商標登録。登録主義と使用主義の話。登録の審査はどういう観点からされるか(識別性と類否)。商品分類の話。とまあ、喋り倒して2時間。
と言ってもらったのでまあよし。ついでに、渉外担当の二人も仕事しつつ一緒に聞いていた。大体イメージが掴めました。
明日は細かい話実務の話だな。稟議書書かなくちゃだし。