知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

租税条約の届出書

とある案件の支払について、租税条約の届出書の作成をしていた。これ、「我が国と租税条約を締結している国の居住者(法人を含みます。)が、支払を受ける工業所有権又は著作権等の使用料について、租税条約の規定に基づき源泉徴収税額の軽減又は免除を受けるために行う手続」なので、支払側に作成義務はもちろんないんだけど、ちゃんと提出しないと支払が滞るので、可能な範囲で入力できるところを埋めて、先方のサインをもらう程度に仕上げて依頼することが多い。

で、この手の事務作業は、かつて渉外業務をやっていたころは、若手の部下に一手にやってもらっていて、彼は細かいところに気が回る、任せて安心なタイプだったので、私は確認するだけでまったく手を動かしたことがなかったのだが、なにしろとうに彼は退職してしまい、代替人員なく仕事だけ戻ってきているので、仕方なく自分で入力からなにから。。。とほほ。

しかしこれって、25年前に仕事を開始した頃とま〜ったくやることが変わっていないという恐ろしい話。当時はタイプライターで記入していたものがいまは入力フォーム付きのPDFになっている、という違いがあるくらいで。

とはいえ、租税条約も改正になっており、税率が軽減(10%)から免税になる一方で、その恩恵にあずかるためには特典条項の適用申請が必要になり、提出する書類の数は増え、居住者証明まで要求されるという、手続き自体は厳しくなっている。そして、今や大半を占めるNPEは、LLCなので、パススルー課税が通常で、そうすると構成員全員分のメンバーリストと居住者証明が必要になり、それを当局から入手するのに数ヶ月単位で時間がかかり、ちっとも支払ができない、というスパイラルである。支払期限の設定をTax Documentsの受領から15日以内、とかにしておかないと実務的に回らないのが、租税条約改正後の傾向だったりする。年度の終わりまでには支払って済ませたいんだけどな〜。

ともあれ、できるところを全て埋めて、代理人宛にメールしてひとまず完了。