知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

育成計画

5月1日付で社内異動があり、1人知財部メンバーが増えた。当社の異動って、入社して吃驚したのだが、本人への内示が発令3日前だったりするので、到底発令日に着任できなくて、一応1週間以内に着任とか規程にはかいてあるものの、2週間くらい後が普通だったりする。

ということで、本日着任。渉外ではなくて、権利化の方である。朝自己紹介を聞いていたら、どうやら入社後生産部→営業部→知財部ということらしい。営業からというのは聞いていたが、その前があったとは知らなかった。一応技術系のバックグラウンド(確か情報系)。

営業時代は東京支店勤務だったこともあり、ゆくゆくは東京側で権利化担当をやってもらうつもりだが、2ヶ月程度は本社で研修(OJTですな)。9月くらいまで知財協の研修も噛ませつつ。早く育ってくれ〜と祈る。

一方、渉外もこれでかれこれ1年。法務部から異動してきた部下の今後のキャリアプランを考えていて、やっぱり知財にいるからには特許の中身は避けて通れないよな〜という結論に至る。1年間かけて、知財渉外業務の一通りは経験してもらったし(特に初動と終結。中間は案件によって色々なので)、明日1人で全部やれと言われたらそりゃ困るだろうけど、見当がつかなくてあたふたするということはないだろうという程度の経験は積んでもらった。

手続的なところ、社内調整の準備や実行なども色々やってもらったので、もう後は実際に対象の権利の解釈をして、自社の製品との対比をして、立ち位置の強さ弱さを判断するところが自分で出来ないと、これ以上やることは出来ないなぁ、と。ここの上にたって事業リスクの計量をし、事業部門に提案していくので、自分で判断できなければ他人が出してくる解析結果を鵜呑みにするしかないので、それでは実際のところおもしろくはないのだ。

ということで、この部下にも権利化業務をやってもらうことにした。特許の権利範囲の読み方とか、侵害判断のやり方とか、結局読んでいるだけではよくわからなくて、まわりみちのようでも実際自分で発明の発掘に立ち会って、先行技術調査をやって、特許事務所と面談して、出願して、さらに担当した案件の中間をやって、というプロセスを踏んで見えてくるものがあるわけで。渉外担当だからといって、この経験がなくやっている人は実際あまり多くもないし、経験ゼロではあまりうまくいかないのではと思ったりする。

法務出身ということで技術系のバックグラウンドはないから、技術アレルギーがあると困るなと思っていたのだが、本人に聞いてみるとそんなことはなく、やってみたいとの意向だったので、早速本日から上の異動組の彼と一緒にOJT。二人一度なので手間は変わらないし、ちょうどいいかも。1年くらいかけて、当社の事業部門一通り経験してもらおう。その上で、知財でキャリアをこのまま積んでいくのか、他への異動も考えるのか検討ということで。知財でキャリアを積むのであれば、あと数年は権利化の方もやっておいた方がいいな。

リソースに余裕があれば、全面的に権利化ばかりやらせてもいいんだけど、正直1人取られてしまうのは痛い。中間処理を全面的に渉外から応援していて、商標も取り込んでいる現状で、それされたら純粋渉外業務を1人で回すことになってしまうよ。相変わらず係争は二桁なのでちょっとムリ。

意外な効果としては、研修生二人状態なので、1人で取り組むより相談も出来るし二人とも楽しそうなこと。部下くんは、真面目というか雑談を一切しない人なんだけど(いくらやっても話が続かないので最近諦めた。上司相手だと緊張して余計ダメみたい。相談や報告は漏れがないからまあいいんだけど、普段何を考えてるのかよく読めないんだなぁ)、さすがに若者同士だと話もそれなりにできるようである。まあよかった。

ということで、育成計画を見直さなくちゃ。
そして、この先渉外業務がちゃんと回るかどうかも見直さなくては・・・。