知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

課長職の転職は難しい

東京出張中、いつもの書原霞ヶ関店で種々本を物色。キャリアコーナーには色々煽り系のタイトル本が並んでいたが、ふと手に取ったのがこの「課長になったらクビにはならない」。時間に余裕があったこともあり、かなり立ち読みしてしまった。

課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣

課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣

統計データを引きながら、報道されている内容と実態との乖離などを説明しているのだが、その中で、日本でよく言われる35歳転職限界説というのは日本の転職市場が未熟だからというわけではなく、諸外国でもせいぜい40歳までだということが書かれていた。通常は、それまでに自分の職場を見つけてその後は定年まで勤め続けて昇進するパターンが多いということ。それがうまくいかないと、青い鳥を求め続けていわゆるジョブホッパーになってしまう。

40歳前後になると、通常の会社では課長職相当の職責を求められるが、この課長職というのがそれまでの会社内での積み重ねがないと転職してポンと置かれてつとめるのはきつい。部下のマネジメントは部下を把握しなければ難しいし、社内他部門との調整も会社によって色々やり方がある。役員や部長間の力関係や癖など、A社の常識はB社の非常識。なので、課長ポストに人が足らないからといって外部に求めてもうまくいかないことが多いという話だ。

確かに。私が当社に転職で入社したのは40歳を過ぎていて、管理職ポジションを提示されたわけではなく、資格としては上級職の1歩手前。通常同年齢のキャリアとしてはかなり遅めの位置になる。まあ弁理士資格があり、知財部門の補強としての専門職採用だからかなり違う側面があるが、まあよく入れたな、というところはある。

で、入社して1年ほど平社員で仕事をして、その後現在の課長職相当(グループリーダー:GL)についている。渉外グループをつくるにあたって、GLが新たに必要になり、おっかなびっくり配置してみたというのが正直なところらしい(何しろ女性管理職がほとんどいないのだよ。)。

1年かけて、役員会でのプレゼンも何度か経験したし、役員や経営トップへの直接説明などの機会もあり、それなりに成果も上がってきたこともあって、大分社内で顔と名前を覚えてもらえたとは思う。しかし、ここまで来れたのは、当社の社内でどう振る舞うのが有効か、どういうタイミングで誰を押さえておけばいいか、という企業内事情に通じた同僚GL(入社時から1年間は上司だったGLで、プロパー採用15年目。GL歴もかなり長いベテラン)と、担当役員を兼ねている部長(中途入社だが18年目)の存在が大きい。彼らがいなかったら、仕事自体のやり方はわかっても、社内調整や社内システムへの落とし込みなんかは難しくて頓挫していただろう。

こういう人材が周りにいるかどうかなんて、転職時面接では全然わからないので、ある意味賭けだよな〜、と思う。採用する側だって、そういう人員を周りに置けば課長職としてちゃんと成果を上げることが可能かどうかなんて、職務経歴書くらいじゃわからないと思うし。私の場合だって、前職の特許事務所は副所長職だからまあ中間管理職なんだけど、企業組織とはわけがちがうし、その前の企業経験はなにしろ新卒から10年いただけなので、組織の仕組みに通じるなんてところまでいかなかった(チームリーダー相当の研修を受けたところで退職してしまった)。

というわけで、今回の転職はここまでについてはラッキーといえるだろうという話。今後については定かではないけれど。