手首が痛いだの足首が痛いだのと言っているうちに、妊娠当時と同じくらい腰痛が悪化(まあ全ての原因は腰というか骨盤にあるようなので当然と言えば当然なのだが)。油断すると花粉はおそってくるし、体調的には人生最悪の状況かもしれない。とほほ。
さて、前回のエントリに対して、dtkさんには速攻でお返事エントリを頂いた(エライヒトに聞いてみよう)。この手の話は、(a)自分がどうしているか、(b)組織としてどう回すか(仕組み化するか)、(c)スキルとして身につけさせるにはどうしたらよいか(育成)という観点があり、ともするとごっちゃになりがちなので、切り分けて考えなくては、と(自戒を込めて)思う。その上で、今の私の関心は、立場的に(2)と(3)に焦点がある。
このお返事エントリによれば、dtkさんの会社では、(b)として、
・契約審査の依頼書に背景事情を含めて必要そうなインプットをしてもらっている
・過去の法律相談事例の蓄積
がなされており、(c)として、
・製造業としての基本的な知識の習得のために製造現場への実習など
が会社の研修の一環として考えられている、ということのようだ。
依頼書への記載については、依頼リテラシーの向上が必須で、記載項目があっても何のためにそこを記載しているのかが記載者に分かっていないとさっぱり要領を得ないことはこれまで再三述べているとおり。特許の調査依頼にしても、
程度の漠然とした調査依頼(一行依頼とでも呼びたいところ)が来ることはちょくちょくある(さらに依頼側は知財と法務の区別がほとんどついていないので、とりあえず聞きやすい知財に投げておけば全部面倒見てもらえると思っている)。そんな漠然とした内容で検索ができるわけもないので、受け取った側としては、根掘り葉掘り依頼者が何を考えているのかを聞き出して、その上で調査対象を絞り込み、キーワードを設定して調査をする羽目になる(ほとんど力業)。今度こんな製品をやろうかと思ってるんですが、何か問題ありますかね?
で、こんな力業を繰り返して幾星霜?、ようやく最近気がついたことには、これはこちらの担当のスキルに依ってしまって、同じレベルの担当を用意しないと同じ成果が出ない。後から振り返ろうにも、どうやって対象を絞り込んでいったのか、具体化していったのかが後に残っていないので、自分で振り返ってもよく分からないくらいなのだ。もちろん具体化と絞込の結果実行した調査の報告書は残っているが、調査依頼と報告書を結びつけるものがなくて相当のジャンプがあるわけ。こりゃまずい。
ということで、最近ようやくこの手の一行依頼に対しては、調査対象の具体化をちゃんと聞き取りして、依頼部門と調査対象を合意して、調査にかかる前に『調査設計書』を残そうということにした。これが蓄積していけば、後から振り返ることもできるし、フォームに沿って聞き取りを行えば、経験の浅い担当にもそれなりに調査の道筋が見えるはず。まあ要は、依頼側にいくら口を酸っぱくしてちゃんと分かるように書けと言っても具体的に何を書いたらいいのか想像ができないのだから、聞き取りをして、一緒に考えて、合意を取るプロセスを強制的に入れようということ。この積み重ねをしていけば、いずれ依頼書もそれなりのレベルに到達するはず(遠い道のりだが)、と期待している。
ここでは、それなりにインプットに必要な情報の選別ができる担当者に調査設計書のフォームを作成させ、いくつかの具体例をやらせることによって、標準化をはかり、スキルの低い担当にも広げることを考えている(合い言葉は『誰がやっても65点取れるフォーム』である)。
法務側でも同じことをやって方がいいんじゃないかな〜、と思う場面は数多いのだが、なかなかそうもいかないようだ。必要に応じて聞き取りはしているので、それを過去の事例として蓄積し、標準化することで大分変わってくると思うんだけどなぁ。
で、ここでdtkさんがご自身のインプットを得る方法(上記(a))として上げられているのが、
で、類似性に笑ってしまった。私自身、中途で入社してようやく3年、自分の社内人脈がようやくできあがってきたところである。インプットのソースとしては、社歴が長く開発にも顔が広い『下の人』に聞く、さらに彼を通じて情報を得る、ということを最大限行ってきた。その結果、ようやく自分で見当がつくくらいに社内事情や業界事情に明るくなったということができる。現在も、自分で聞いて回るよりそっちの方が断然効率がいいので利用させてもらうことが多い(社内人脈のチェックは欠かさないが)。元知財だった下の人に聞く
法務の担当も、それがあってこちらを当てにしていることが多いのは理解できるんだが、それって、永遠に続けていいものじゃないし、自分が同程度の社内ソースを手っ取り早く手に入れるまでの代替手段だと思うんだけどね。