知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

若手のギモン(16):適用条文はいつのもの?

さて、2号君の中間処理OJTでのギモンが続く。

あの、質問してもいいでしょうか。拒絶理由に、37条○号に・・・と書いてあるんですが、いくら条文をみても37条に○号はないんですけど。審査官が間違えたんでしょうか?

(あのね、審査官の方があなたよりずっとプロとして長くお仕事しているわけで、審査官が間違えるより自分が知らない方をまず疑った方がいいと思うわよ?)
『37条はいつ改正だったっけ?』

??
この法文集(と自分の持っている『知的財産権法文集』を見せる)は、最新版なので、問題ないと思うんですが。
37条はここに。

『そうじゃなくて、この出願の出願日は2000年でしょ?その時の37条はどうだったの?』

ええっ、昔の条文が適用になるんですか??僕はてっきり改正された最新のものに全部上書きされるので、それ一つで済むんだと思ってました。

・・・
(それで全部片付くんだったら昔の法令集を取っておく必要もなくて簡単でいいよねぇ・・・)

ともあれ、法文集では改正情報は載っていないので、法令集の方を持ってこさせて、37条を確認させる。(平成15年改正)と書いてあることを確認させ、さらに、特許法の末尾の附則へ。平成15年改正時の附則の関係部分を見ると、

附 則 (平成一五年五月二三日法律第四七号) 抄
(施行期日)
第一条  この法律は、平成十六年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。(以下略)
(特許法の改正に伴う経過措置)
第二条  第一条の規定による改正後の特許法(以下「新特許法」という。)第三十七条の規定は、この法律の施行後にする特許出願について適用し、この法律の施行前にした特許出願については、なお従前の例による。(以下略)

なので、当然2000年(平成12年)出願であれば、『この法律の施行前にした特許出願』のため、『なお従前の例』によるわけ。ここで、改正法その改正時の改正前の条文と今の条文を比較。

【改正前】
第三十七条
 二以上の発明については、これらの発明が一の請求項に記載される発明(以下「特定発明」という。)とその特定発明に対し次に掲げる関係を有する発明であるときは、一の願書で特許出願をすることができる。
一 その特定発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である発明
二 その特定発明と産業上の利用分野及び請求項に記載する事項の主要部が同一である発明
三 その特定発明が物の発明である場合において、その物を生産する方法の発明、その物を使用する方法の発明、その物を取り扱う方法の発明、その物を生産する機械、器具、装置その他の物の発明、その物の特定の性質を専ら利用する物の発明又はその物を取り扱う物の発明
四 その特定発明が方法の発明である場合において、その方法の発明の実施に直接使用する機械、器具、装置その他の物の発明
五 その他政令で定める関係を有する発明

【改正後】
第三十七条  二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。

ついでに、青本で37条改正の趣旨を確認しておく。

これでめでたく拒絶理由が審査官の間違いでなかったことが確認されました(^^ゞ。

こういうふうに出願日で取扱いをわけるのって、改正法を全部に適用しちゃうと出願人に不利益が出るからなんですよね。

そう。少し考えれば分かること。だから出願系の条文は、施行日以降の出願日を持つものに適用されるのが大原則。審判や登録後関係は色々なケースがあるし、料金の変更は出願日にかかわらず適用されることが多い。値上げ系はやはり出願人に不利益が多いので、改正法の成立から施行日までの期間を長めに取ったりする。

いままで附則に注目したことはまったくなかったです。勉強になりました。

いえ、こちらこそ。出願日によって適用法律が変わる常識でいたので、いざ根拠はどこだと思ったらとっさに出てこなくて復習になりましたよ。