この系統のエントリを若手のギモンシリーズに入れるのはちょっと違和感があり、どっちかというと『若手の訓練』とか『若手のドリル』とかいう感じなんだけど、まあ関連するということで、カテゴリばかり増やしても仕方がないことでもあるし(だからカテゴリじゃなくてタグの方が好ましいんだけど。複数個付与できるからさ)、一応ここに入れておく。
前回のエントリに書いたが、最近若手君の報告や説明がまったくなっちゃいないことが発覚したので、これをまともにできるように訓練中である。具体的には、打ち合わせに出席したときにはどんなに些細なものでも録音させ、若手君のメモと記憶に基づいて(ごく普通に)議事録を書いたものと、録音から抜き出して漏れや誤りを修正したものとを提出させている。
先日は、出席予定だった某事業部の会議に途中までしか居られなかったので、録音機だけ置いていったらしく、全面的にテープ起こし状態になり、膨大な量のレポートが出てきた。おかげで読んだ方は情報量が多くて大変よかったのだが、書いた当人は丸1日かかっても終わらなかったようで、
問題が二つ。若手君の書いてくる議事録や報告書は、本当にこんなことをする必要があるんですか?
エッセンスを伝える形式で書けば、かかる時間は半分になると思うんですが。
(2)の判断基準のダメさについては、これは経験を積んでいくことも必要だし、今それを取り上げても具体的にどう訓練するかは難しい。そこで、(1)についてとことん説明をする。結論しか書かれていない報告書は、報告でも説明でもなく、ただの『通告』。理由を示さず、こう決めたから反論せず従えという種類のものでしかない。報告するならその結論や重要事項に至った背景事情や理由、考え方を報告者に示して理解してもらう必要がある。報告というのはそのためにするもので、理由を省いていたのでは報告したことにならない。(1)エッセンスというか結論だけ抽出して書き出そうとしているため、その結論に至る理由が全く書かれておらず、なぜそういう結論に達したのかさっぱり分からない。結論の妥当性も判断できない。すなわち、受け手にとって納得性がない。
(2)エッセンスと判断している本人の基準が成熟していないため、そもそもエッセンスでなかったり、誤った内容になっていることがある。その場合も、(1)のように、背景を理解する手がかりが書かれていないので、受け手はダメ出しをすることすら難しい。ほんとか?とか、なんでそうなるんだ?ということしか言えないため、出ていた本人に『間違いありません』と言われてしまうと反論するすべがない。根拠がそこに示されていないから。
また、中間処理をやらせていて、実施の状況を発明者に聞き取りに行かせた(ベテランを同行させた)ところ、いきなり、
という聞き方をしたらしい。そんな、発明者にそんなことをいきなり聞いたところで、何を応えたらいいかさっぱりわからないでしょうが。いま拒絶理由が来てまして、結局のところ対応案は2つに絞られるんですが、どちらがいいでしょうか。
そりゃ『効率的』のとらえ方が間違ってるって。何をどう答えたらいいのかをちゃんと理解してもらって、その答えが全体としてどういう位置づけに当たって、この先どういう風に生かされていくのかを飲み込んでもらってから応えてもらえば、答える方も、答え方が違ってくるでしょう。端的な質問に端的に答えられると、こちらの意図が伝わっていないことが答えられてから発覚して、結局もう一度質問する羽目になったり、手戻りが増えることになるの。それは、全然効率的じゃない。僕は、発明のネタを出すのは発明者でも、その後特許にするのは特許部門の役割で、今回発明者には、どっちの対応案が実施しそうかだけ確認すればいいのだと思ってました。組織の中では業務を分担して進めている訳なので、『効率的』に進めるために、余分なことは伝えない方がお互いの時間の節約になって好ましいと思っていました。そうではないんでしょうか。
と言ってたがどれだけ本当に分かって、次の具体的なところに落ちてくるかは、ほんとうにドリルで、繰り返さないとできるようにならないだろうな。そうなんですか、わかりました!
しかし、まだ彼は20代の若手なので、きっと矯正できると信じている(いたい)のだけど、これをやっていたら、同じようなタイプの人員がもう一人渉外側に居ることが明らかになってしまい、不惑を過ぎてこれはきっとこの先も直らないだろうと暗澹とした気持ちになったのだった。