知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

法務と知財の距離

12月の第一営業日ということで、12/1付で転職された方が世の中にはそれなりにいらっしゃるようで、当社にもお一人入られた。念願の法務側人員補強である。初日ということで入社時研修(というか説明)が行われ、同じ法務部だからと珍しく30分時間をもらったので、こちらが何をしているかなど説明した。

法務職で数社目の転職ということなのだが、これまでの会社も法務部門の中に知財がある形のところが多かったようで、組織形態とか業務上の協力状態とかのイメージも掴みやすいようだった。

それとは別に、最近縁あって他社の知財部にヒヤリングする機会が何度かあったのだが、そのうちの一定割合が同様の組織形態、すなわち、本社(コーポレート)管理部門の一つとして、法務と同列に置かれている、という形だった。

知財の組織としては、このようなリーガル系に置かれるパターンと、技術本部や開発本部の中に置かれるパターンがあって、どちらも一長一短あり、歴史的な経緯によってたまたま現在の部門がそうなっている、という場合が多い。ずっと同じところに位置しているという会社もあれば、法務に入ったり開発に入ったり時代によって色々という会社もある。まあ当社もあっちへ行ったりこっちへ行ったりの会社の一つ。

本社管理部門の一部に位置づけられている場合の一番の問題は、多くの場合、本社スタッフはできるだけ少ない人数で費用をかけずにすませるのが吉とされているため、なかなか人員も予算も増やしてもらえない、ということだろう。この点は、どうしてもそういう大括りで捉えられてしまうため、個別事情を説明しても難しいと嘆かれることが多いようだ。

確かに、開発や技術本部の一部にある場合には、開発費用や人員との連動で評価されることが多いので、そういう意味では、特に権利化関係の人員や費用については、認められやすいような気がする。

一方で、技術本部や開発本部の中にいると、法務との距離が遠くなり、係争関係や契約関係でのコミュニケーション、情報共有に難がある場合が往々にしてある、というのが欠点だろうか。これも何人かの方からそのような感想を頂戴しているので共通の認識だろうと思う。

両方のいいとこ取りというのも中々難しいので、長短を理解しつつ業務を進める、ということになるのだろうな、と改めて思ったことだった。