知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

予納口座の失効

今年になってから、勤務先会社でインターネット出願端末を整備し、直接出願できるようにした。個人よりも法人の電子証明は取るのが面倒で、社内の理解を得るにも一苦労。『何で今までどおりじゃいかんのだ?』などとまるで役人のような抵抗勢力が(以下自粛)。

古い書類をひっくり返していたら、パソコン出願ソフトのマニュアルが出てきたり、識別シールが出てきたりしたので、どうやらその昔は直接出願をしたこともあったのではないだろうか。推測の域を出ないのは、当部門がまだできて数年で、その前は色々な部署の業務の一部扱いをされていて、選任担当が置かれていなかったり、ころころ人が変わっていたり、またその人が辞めてしまっていたりして、業務に継続性がさっぱりないためだ。特許部門は異動が少なくて、何十年も前から同じところに居座り、古い書類が山ほどあって、昔からその仕事一筋にやっている人がわんさかいる、というイメージだったのだが、当社に来てまったく覆された。いろいろな会社があるものだ。

というわけで、時節柄?経費節減方策の1つとして、直接手続を行える環境を整えるのが重要とかなんとか訴えて、半年くらいかかって実現の運びとなったわけ。端末は情報部門に申請すれば配布されるし、ダウンロードは自前だし、電子認証用のソフトも一番安いので済ませたからたいした額ではなく、手間がかかったのは電子証明取得にかかる社内稟議だった。

さて、無事特許庁に接続できるようになったところで、昔の予納台帳番号を入れて残高照会をしてみたら、3万円ほど残っていた。おお!と喜んで手続をしてみたところ、速攻特許庁から電話。

予納を使った手続をしなくなってから4年以上たちますので既に失効しています。

じゃあなぜ残高が表示されるんでしょ。失効したなら『失効しました』って出てくれればいいじゃない?その残高はどうしたらいいんですか?と聞くと、

返還請求してください。

仕方がないので、あたらしく予納届を出し、予納書も一緒に出して入金。並行して、返還請求を提出。返ってきたら、新しい方の予納口座にそのままスライドさせようか、と計画していた。すると、またまた特許庁から電話。

平成19年の10月に失効通知をお送りしていますので、それから既に6ヶ月以上経過していますから、もう返還することはできません。

え〜!この間は返還請求しろって言ったじゃないの〜。と抗議してみても、

すみません、法律で決まってます(特例法15条4項)ので、どうしようもなくて。

と申し訳なさそうに言われ。

なにしろ、いつから直接手続をしなくなっているのか不明で、予納口座にお金が残っていたことも今回接続して初めてわかったような始末で、もちろんそんな失効通知など受け取った覚えもない。しかし、平成19年ならさすがにもう知財という名前のグループはあったはずなので、特許庁からの通知が社内でたらいまわしにあっていた可能性はとても低い。受け取っても意味がわからずに放置されてしまったのか、今となっては謎である。

ともあれ、かの忘れられていた3万円は、使えると思ったのがぬか喜びで、そのままお亡くなりになりました。

なんか、本棚の中からへそくりの通帳がでてきたんで喜んだけど、もう使えなくなってたみたいだねぇ。

とは上司の弁。なんだかなぁ。