少し前に、グループ内の席替えをした。目的は、仕事上のコミュニケーションの円滑化というか活発化。現在うちのグループの担当者は、ベテラン2人に若手3人という構成なのだが、気軽に話ができて疑問の解消ができる、雑談から興味を広げる環境整備といったところ。
若手君たち(私の下にやってきた順に若手1号、2号、3号としておこう)は、まあ三人三様でおもしろいのだが、渉外時代からずっと私の隣で部下をやってきている真面目な1号君がかなり気詰まりっぽい(そしてかなりテンパっている感じ)もあり、私の側から離した方が良さそうだ、との思いもあって、猪突猛進系でひそかに『うり坊』とか呼ばれている2号君と入れ替えた。
そうしたところ、軽く質問ができるようになったらしく、2号君からの質問がグッと増えた。まあ狙い通りと言えましょう。その質問が結構おもしろいので、紹介してみる。私が業歴長いことから昔はどうだったんですか系の質問が多いんだが、先週は、
確かに、今となってはGoogleのない世界を想像するのが難しいもんね。それと似たようなもんか?昔って、IPDLはなかったんですよね?調査ってどうやってやってたんですか?
これに対しては、パトリスなどの商用データベースはあったこと、でも従量制でこわごわ使ってたこと、間違えて大量に出力してしまって上司に怒られる、なんてこともあったこと。公報は、紙で発行されていて、調査と言えば手めくりの時代が長く続いていたこと、等を説明した。
とはいえ、この時代、私はほとんど権利化実務をやっていない(初職で権利化をやったのは1994の終わり〜1996の始めのわずかな期間しかない)ので、実は手めくりで調査なんてやったことはなく、やっている人々を隣で眺めていただけなんだが。
続いて、本日のその1は、こんなのだった。
後の出願は、前の出願の公開より前に出願してるんだよね?んじゃ、拒絶理由は何で来るの?今、出願を考えている発案が2つあるんですが、よく似ていて、国内優先でも出せるんじゃないかと思ってるんですけど、もし、普通に別出願で出してしまったら、後から出した方って、前の出願で拒絶になっちゃうんですか?
そう?条文確認した?えっと、拡大先願じゃないんでしょうか。
まず、29条の2を見なさい。話はそれから!いえ、まだです。
・・・
いや、必ずしもそうはならないんじゃなくて、そうならないんです。その言い方じゃ例外があるみたいじゃないの。見ました!出願人が同一の場合は必ずしもそうはならないんですね!
だからそりゃ前の条文が該当しない、って言ってるんだってば。いやでも、条文には、『この限りでない』って書いてあったので。
(おい大丈夫か)あ、そ、そうなんですか。
だから、普通に会社で似たような出願を出す場合は、公開前ならあまり神経質になることはないんだけど、共同出願とか、似たような発明がグループ内の会社をまたいで出るような場合は要注意、なんてことを発展して話す。そして、この出願人同一の他に29条の2の例外はないのか確認(発明者同一だね)、さらに、同一の判断時はいつかも確認。どんどん発展させて色々なところで知識を広げつつ、どこかで印象に残るようにしないと頭に入らないんだよね。
と、ここまで書いてふと思い出す。実施例同一でクレームの違う2出願をもちろん同一発明者、同一出願人で出すときに、わざわざ同日出願にすることがよくあったよな。これって理由はなんだっけ?なんかすぐに思い出せないんですが。あれ??
いかん、やっぱり渉外1年で浦島たろこだわ・・・。