弁理士会で標記テーマの研修があった。講師は、東京地裁47部の阿部判事。『実務上の諸問題』とかあったので、近似のトピックスを中心としたマニアックなものかと想像していたら、当日資料のタイトルは『知的財産権訴訟の実務(特許権侵害訴訟を中心として)』に変わっていたし、内容もわりとオーソドックスなものだった。
特に目新しいところはなかったが、管轄について、技術型事件は東京地裁・大阪地裁の専属管轄と説明されるが、民訴6条の規定ぶりはそのようにはなっておらず、『特許権等に関する訴え』になっているので、争いの内容が特許権に関係していれば適用になるという明示の判決が出たということを改めて認識。(知財高裁平成21年1月29日判決 平20(ネ)10061号)
その他、特許権侵害訴訟の進め方、審理モデルなどは、社内にフィードバックしておくのがよさそうだ、と復習を兼ねて。以下、目次を列記しておく。
第1 知的財産訴訟について
1 知的財産、知的財産権の意義
(1) 知的財産(知的財産基本法2条1項)
(2) 知的財産権(知的財産基本法2条2項)
2 知的財産権訴訟とは
3 管轄
4 東京地裁における知的財産権訴訟の動向
5 裁判所における知的財産権訴訟担当専門部の人員構成
6 知的財産権訴訟の特色
第2 特許権侵害訴訟
1 審理の概略
(1)審理の内容
ア 侵害論
イ 損害論
(2)審理モデル
2 特定論(侵害物件、方法の特定)
3 技術的範囲の属否(充足論)
ア 特許発明の技術的範囲
イ 技術的範囲の解釈と発明の要旨認定との関係
ウ 均等論
4 無効理由のある特許権の行使の制限
5 特許法104条の3(平成17年4月1日施行)- 無効の抗弁
6 訂正の対抗主張について
7 無効主張のダブルトラック
8 損害論
9 専門的地検の活用
ア裁判所調査官
イ専門委員
10秘密保持命令
11職務発明について