知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

俎上

種々の事情で、自分のメインフィールド外で交渉事を行っている。

いままでのメインフィールドでの経験から、およそ交渉というものは、こんな風だと考えている。

(1)攻撃防御に使えそうな手札をバリエーション豊富に揃える
(2)相手の札をこれもバリエーション豊富に予想する
(3)(1)と(2)を見比べて、自分のポジションがどの程度強いかを判断する
(4)(3)の判断に基づいて、(1)の手札をうまく切りながら、できるだけ自分に有利に運ぶように話を進める

(1)自分の手札

一枚最強のカードがあれば良さそうに思う人が多いのだけれど、相手があることなので、思わぬところでひっくり返されてしまったり、相殺されてしまったりすることがあるので、これさえあれば、というのは結構危険。それよりも、こんな些細なことが役に立つのか?というものまで含めて、手札を集める段階では、その評価はせずに、集められるだけ集めるという姿勢が必要。

(2)相手の札

できるだけ相手の立場に立って、持っている札の予想をする。これもできるだけ幅広に考えて、不意打ちを食らわないように。そして、どんなに想像を逞しくしても、完全に相手の立場に立つことは不可能なので、予想もしなかったカードを切られることは常に覚悟しておくことも必要になる。

(3)ポジション判断

要は、どの程度強気に出て大丈夫なのか、ということ。相手がこちらの札を読み切れていなかったり、自分の札の強さを認識できていなかったりする場合もあるし、逆もありうるので、交渉しながらポジション判断は常に微修正をかけていくことになる。ポジションの見極めをせずに自分の欲しいものを強く主張するだけでは、まったくまとまるものもまとまらないし、逆に弱気に出過ぎては、ぼられる可能性が大きくなるので、この見極めが一番重要だと思う。これによって、交渉のスタートや見切り、幅が決まってくると思う。

(4)実際の交渉

手札の切り方、出す順序とか、どこまで見せるか、相手の出方によって色々変わってくるので、臨機応変に。同じような条件でも見せ方によっては飲める場合飲めない場合もあり。常に忘れてはならないには自分にとって、相手にとって、交渉している目的がなんなのかということ。条件交渉に目を奪われているとそもそもの目的を見失ってしまうことにもなりかねない。また、自分に有利に運ぶというと、時に誤解されがちなのだけれど、単純に自分に有利であればよいわけではなく、相手にとっても利があることが重要で、Win-Winというと聞こえが良すぎるけれど、『いい取引をした』と思ってもらえること(実際にそうだったかどうかよりも、そういう気になったかどうか)が大切。

んで、どんな交渉だろうとこのセオリー?は変わらないと思ってはいるのだけれど、やっぱり土俵が違うと、手札の集め方が必要十分にできているのかが不安だったり(網羅的にできていないような気がするし、視点の広がりが足りないような気がする)、相手の札の予想がさっぱりできなかったり。ポジションの判断も、やっぱりそのフィールドごとの相場観のようなものがないので、なかなか自信を持って言い切れるところまで行かない。となると、どこまで強気に出ていいのか今ひとつ自信が持てなくて、精神衛生上悪いことこの上ない。

とはいえ、とにもかくにも手札は切ったところなので、あとは相手の出方待ち。俎の上のなんたらである。