知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

別姓

息子2号の入院中、各種の書類を書く機会が当然あるのだが、もちろん未成年者である本人が署名しても有効にならないので、法定代理人として親が署名する。

何度かこのブログでも書いているように、我が家は夫婦・兄弟別姓で、私と息子2号は姓が異なる。よって一目瞭然。先日も個室に移るときの申込書の署名欄を見た看護師さんが、

お母さん別姓なんですか〜。

と言われたので、『はいそうです。(ニッコリ)』と返しておいた。この場はそれだけだった。

すると本日同じ看護師さんが点滴などの処置をしに来たときに、

なぜ別姓なんですか?

と訊かれた。『単純にそうしたかったから、ですね』とお答えすると、

別姓にするには、どういうふうにすればいいんですか?簡単にできるものなんですか?

とさらに訊かれた。

このあたりが、昔(結婚/同居?を開始した当初)と今が異なるところで、まず別姓実践者がずいぶん数として増えているので、あまり珍しがられなくなり、普通に会話が成立するようになった。そして、面白いのは、実践している人が増えたために、法律上はなにも変わっていないにもかかわらず、別姓のための手続(たとえば婚姻届に選択欄があってそれで同姓か別姓か選べるような)というものが存在しているようなイメージを持っている人が増えている。以前に比べて、

なぜ別姓(なんか)にしているんですか?

という質問よりも、

どうやったら別姓になるんですか?

という質問を受けることが増えているのだ。今日の質問もそれだったので、『残念ながら、法律上正式な形で別姓で届をすることはできないので、やり方としては2つです。婚姻届自体を出さないか、婚姻届はどちらかの姓で出しておいて、社会的に使う姓を別姓とするか、ですね。』との答えになった。質問をされた看護師さんは、わかったようなわからないような顔をしていた(そうだろうなぁ。。。)。

振り返ってみると、結婚を決めた当時は、あまり徹底的に考えていたわけではなくて、結婚することによって姓が変わるのはなんだか不自然なので、そのまま使い続けられればいいな、程度の思いだった。そのままであれば、きっと会社で使うのを元の姓にして、婚姻届は普通に出し、日常生活ではおそらく夫の姓を使い、というような形になっていたのではないかと思う。そうすると、元の姓と婚姻後の姓が混在して普通は婚姻後の姓に段々浸食されてくることになるのだが、そこまで使用シーンを考えていなかったのだ。

幸い?相方が徹底して考えるタイプの人だったので、自分でもどういう方法があるのか色々調べてみて、最大限自分の姓を使える方法を選んできた。結局、いったんは婚姻届を出したものの、数年でペーパー離婚して事実婚になり、現在に至る。法的に守られる必要性が高くなければ、姓を使う上でのストレスは事実婚の方がずっと少ない。通称使用だとそれは『本名』ではないと主張する人への対応に苦慮することになるので。

事実婚で困ることは、クレジットカードで家族カードが作れないとか、生命保険の受取人になるのが難しいとか、相続の時とかくらいで、あまり実害はないのだけれど、子どもを持つと、法的に共同親権が行使できないのが最も不便。そしてまた、出生届には親権者を指定するための欄はなく、離婚届にしかない。実際上必要になるのは離婚の時なんだろうけど、相方とペーパー離婚したのは子どもができるずっと前なので、親権者は出る幕がなかったんだよねぇ。

ということで、時に『親権者代理人』と言われるとどきどきするのだった。事実婚で特に相方と険悪になっているわけでなければ、事実上共同親権なわけで、支障があるわけではないのだけれど。