知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

標準規格必須特許の権利行使

ジュリスト9月号の特集が、標題のごとく『標準規格必須特許の権利行使をめぐる動き』であったため、定期購読していない本誌のため着手?が遅れたけれども購入して読んだ。

Jurist (ジュリスト) 2013年 09月号 [雑誌]

Jurist (ジュリスト) 2013年 09月号 [雑誌]

この関連の訴訟はここへ来て各地で大手メーカーをいくつも巻き込んで繰り広げられている最中であり、ダイナミックで見逃せないわけだけれど、争点も多彩で全部追いかけているといくら時間があっても足らない。ということを言い訳にして日本の判決ですらちゃんと原文で読んでこなかったのだけれど、その点が整理して目の前においてもらえた感があり、大変有用だった。

各地の訴訟は概ね地裁レベルで争われている最中か、地裁の一定の判断が出されたところであり、控訴されているものも多いのでまだまだ流動的。日本のアップル・サムスン訴訟判決は、東京地判平成25.2.28 平成23(ワ)38969

米国では、ワシントン西部地区裁判所のMicrosoft対Motorola事件が有名だが、このほかにも、テキサス東部でEricssonが日本メーカーを含む数社を訴えている件があるし、ITCにもいくつかあったり、NPE(PAE)が絡んでいるケースもあったりする。このあたりのアップデートかつわかりやすいレポートは、FOSS PatentsThe Essential Patent Blog が有名どころで、読んでおけばおおよその動きを追いかけることができる。特に後者は、タグ付が豊富でケースをまとめて追うのも容易なため、重宝している。

ずっと以前からいったい何が「Fair, Reasonable and non-Discriminatory」なのかと言われ続けていて、渦中にある機器メーカーとしては『あんなもの何のガイドラインにもならない!』と思っていたわけだけれど、ここへ来て、その具体的な摘要について裁判例ができつつあることは喜ばしいというか参考になるというかなんというか、あんまりプロパテントに落ち着かないでくれと願うばかりというか(身勝手)。The Essential Patent Blogで指摘されているとおり、なにしろ地裁レベル判断なので、全然違う判断がなされていたりして、目が離せないのだった。