シンポジウムの第1セッションは「Recent Developments in Patent Remedies」だった。
情けない話だが、eBay判決は私の中ではNPEが差し止めを得られなくなった"ありがたい"判決という程度の位置づけでしかなく、あまりちゃんと中身を検討したことがなかった。(eBay Inc. v. MercExchange, LLC 547 U.S.388,391(2006)) 検索してみたら、Wikipediaの項目になっていてびっくりした。
で、ここで改めて示されたpermanent injunction を求めるために満たすべき4-factor testは以下の通り。
本件で、最高裁まで持ち上げられたのは、CAFCが、特許侵害事件においては、特許の有効性と侵害が認められた場合には"general rule"として差止が認められるべきであり、認められないのは例外的な事情を要すると判断したため。これに対して、最高裁は、特許事件だからといってそのような取扱いをすべきではなく、そもそも特許法283条でも"may"となっていると指摘している。A plaintiff must demonstrate:
(1) that it has suffered an irreparable injury;
(2) that remedies available at law, such as monetary damages, are inadequate to compensate for that injury;
(3) that, considering the balance of hardships between the plaintiff and defendant, a remedy in equity is warranted;
(4) that the public interest would not be disserved by a permanent injunction
注目すべきは、Justice Kennedy のconcurring opinionの中に、本件が事業に実施するものではくライセンス料を求める主体により起こされている点に注意すべきだとされていること。この種のケースに差止めを与えることの影響をしっかり考えるべきだとの指摘である。Section 283 provides that "[t]he several courts having jurisdiction of cases under this title may grant injunctions in accordance with the principles of equity to prevent the violation of any right secured by patent, on such terms as the court deems reasonable"
さて、このeBay判決の後の判決の傾向だが、上記の4要件は、特にNPEのための話ではないので、事業会社同士であっても要件が満たされなければ差止めは認められない。4要件のうち、(1)のirreparable harm(回復不能な損害)を立証できないことにより差止め請求が却下されることが最も多いとのこと。
引用された判決
- LG Elecs. U.S.A., Inc. v. Whirlpool Corp., 798 F Supp. 2d 541 (D.Del. 2011)
- Belden Techs. Inc. v. Super. Essex Commc'ns LP, 802 F. Supp. 2d 555 (D. Del. 2011)
- Robert Bosch LLC v. PYlon Mfg. Corp., 659 F. 3d 1142, 1149 (Fed. Cir. 2011)
ここで近年用いられるのは"causal nexus"(因果関係)test。
- Apple v. Samsung, 678 F.3d 1314, 1324 (Fed. Cir. 2012)
- Apple v. Samsung, 695 F.3d 1370 (Fed. Cir. 2012)
- Presidio Components, Inc. v. American Technical Ceramics Corp., 702 F. 3d 1351 (Fed. Cir. 2012)
- Broadcom V. Emulex Corp., No. 2012-1309 (Fed. Cir. Oct. 7 2013)
- Apple v. Samsung (ND Cal. 2012)
- Apple v. Samsung (Fed. Cir. 2013)
ごく最近の動きとして、Standards Essential Patents (SEP): 標準必須特許に対する差止命令の是非がある。
- Apple, Inc. v. Motorola, Inc. 869 F. Supp. 2d 901 (N.D. III. 2012)
- Microsoft Corp. v. Motorola, Inc., 871 F. Supp. 2d 1089 (W.D. Wash. 2012)
これらはまだ発展中で目が離せない。膨大すぎて追いつけていないが・・・。詳細は、いつものごとく、FOSS PatentsとThe Essential Patent Blogにお任せして、こちらを読むことでなんとかキャッチアップ。