知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

CAFCとSupreme Court

シンポジウムの第2セッションの(1)、CAFCレーダー判事による「米国連邦巡回区控訴裁判所における近時の動向」。

紹介のあった中で、あまり普段チェックしていないCAFCのサイトの中から統計情報。こちらによれば、CAFCが取り扱っているケースのうち、半分弱がIP関係(地裁から来る侵害事件、USPTOからの上訴、ITCからの上訴)。このうち、USPTOからのケースは、2012年では50件程度だったが、IPRが激増しているので、今年以降は増えるだろうとの予想がされている。
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メインのお話しは、"Supreme Court Interface"と題されたもので、CAFC設立後20年くらいはほとんどなかったのにここ数年激増しているCAFCのケースから最高裁で上告申立が受理され判決が出たものについて。

Rader判事によれば、最高裁というのは、種々の対立する概念や立場について常にバランスを取ることを求められるものであれい、その結果、確固たるルールというのは存在せず、柔軟な判決が出される。他方、CAFCは、前提としてcommercial fieldにおける判断であるから、ビジネスを行う上で、予測可能であることが重要であり、市場の動きに合わせて素早く的確な判断が求められるため、"bright-line rule"を提供することを重視している。時にこの姿勢は"formalism"と批判されるが、92もあるDistrict courts、大半が技術的なバックグラウンドのない判事にも、clear ruleがあれば判断が容易になる。これが重要だと考えている、とのこと。確かにそう言われれば、CAFCから最高裁に行ったケースは曖昧になって帰ってきたりすることが多いかも(^^;)。

取り上げられていたケースは以下の通り。最後の2つはまだ審理中。
1. MadImmune v. Genentech (U.S. 2007)
2. Quanta Computer v. LG Electronics (U.S. 2008)
3. Bilski v. Kappos (U.S. 2010)
4. Microsoft v. i4i (U.S. 2011)
5. Global-Tech Appliances v. SEB (U.S. 2011)
6. Mayo v. Prometheus Labs (U.S. 2012)
7. Bowman v. Monsanto (U.S. 2013)
8. AMP v. Myriad Genetics (U.S. 2013)
9. Medtronic v. Boston Scientific (U.S. 2013)
10.Octane Fitness v. ICON
11.HighMark v. Allcare Health