BLJの当月号でリーガルコスト管理が特集されており、各所で話題になっていた。
BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 10月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: レクシスネクシス
- 発売日: 2011/08/20
- メディア: 雑誌
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われわれの取引先というか発注先は、特許事務所、法律事務所、調査会社など、いずれも専門領域のサービス業。先方は専門家で、こちらは素人、あるいは、チェック能力はあるが自分で同じことはできない、程度の顧客。となれば、説明責任を十分果たして頂いた上で質の高い成果物の納品を期待したいところ。
とはいえ、残念ながら、なかなかそういう納品に出会ったことはない。おそらく、知財系サービスの大手顧客は大企業の知財部で、知財部員はそれなりの専門家としてスキルを積んでいる。となれば、専門家同士の取引となってしまい、たとえば明細書の原稿やら準備書面やら調査結果やらの成果物とのものをちゃんと出していれば、それがどのような制作意図で書かれていたり、どのようなプロセスを経て結果が得られたのか、等は受け手が読み取れることが期待されており、それで特に文句も出ない、という構図なのだろう。
また、一般消費者を相手にする弁護士さんなら違うのかもしれないが、たとえば特許事務所に説明資料を求めたりすると、『そんなことを要求されたのは初めて』のような反応が返ってくることが多い。顧客側も要求したりしてこなかったんだろうな、というのがよくわかる。おそらく、質の高い成果物を求めつつ、チェック能力が低いのでしっかり説明をしてほしい、それも定型的に可視化して欲しい、等と要求する『うるさい』顧客はあまりいないのだろうと想像する。きっと、自分でちゃんと読み解いてくれるか、丸投げしてチェックもしないかの二極なのだろう。
とはいえ、こちらも職責上丸投げ放置というわけにも行かず、社内にノウハウを蓄積して"まともな"知財部門を作るというミッションがある以上、それなりの対応を求めたいわけで、
となることもしばしば(を通り越してよく噴火しております・・・)。客をあんたんとこの教育に使うな〜(怒)
で、本題。昨今新しい取引先に新しい仕事を発注した。これまで社内でやっていた一連の業務を丸ごとお願いというケースで、これに踏み切った理由は、(1)なにしろ案件数が増えて既に首が回らない、(2)丸ごとやれそうなところがようやく出てきた、(3)この発注先なら、ちゃんとプロセスを見せてくれて、社内の担当者にも教育効果が狙えるだろう という3点。
担当者には、この発注で一石三鳥くらい狙いますからと宣言していたが、どうも半信半疑で聞かれていたっぽいところ、本日最初のステップの納品が上がってきて、期待以上の納品ぶり(こちらの要求物にしっかり経緯と意図の説明書がついていた。おかげで、面談してすりあわせようと思っていたところ、これなら安心して任せられるという判断ができ、次のステップへGOをかけることができた。ブラボー!)に、みんなで
とかみしめたことだった。そして、こういう風に解説してもらえると、こちらも大変勉強になりますね。という一言が引き出せて、私は内心『してやったり』と思ったり。手間がかからないって、幸せですね。
そこまで付加価値を(何も言わなくても)つけてくれるのはすばらしい。見込んでお願いした甲斐がありました。ベテランに気づきを、若手に教育を。
私自身が手取り足取り全案件をOJTできればなんとかなるのだろうけれど、そんな贅沢はまったく望めない以上、外部で同等以上のサービスを提供してもらえるのは大変助かるし、それが正しい外注の仕方だろうと改めて思ったことだった。
なにしろ自分の思うようなサービスがさっぱり提供してもらえないという状況が続いていたので、実は私の要求が不当に高いんじゃないかと思いかけてたところだった(冗談)。
久しぶりに気分良く納品を受けることができました。ありがとうございました。