知財渉外にて

2008年3月~2014年9月までの間、知財渉外ネタを中心に書いてきました。

BLJ 2012年3月号 『パテントトロール対策を成功に導く実務』(3)

(2)を書いていたら途中でIEがフリーズしてかなり焦りました・・・。焦って最後まで書かずにその時点で止めてしまった(汗)。最近あまり酷い目に遭っていなかったので、いったんエディタに書き起こす、ということをやってなかったんですよね。今回は予防しよう・・・。さて、気を取り直して。

7. 特許訴訟の重要なマイルストーン

恥ずかしながら、この記事を読むまで、いつクレーム解釈審理を申し立てるかが戦略的判断の一部だという認識がなかった。この手のマイルストーンがいつ来るかというのは、Case Management Conference (Schedule Conference)とかで決まっていくのだが、経験の中ではおおむねそれほど大きく変わらないスケジュール感のものが多かったので、一般的なフレームワークに則って(あるいは、その裁判所の標準的にスケジュールに則って)進められるのだろうというぼんやりした感覚を持っていたのだ。

そして、その標準的なスケジュール感としては、ディスカバリーが一通り終わった後に、クレーム解釈、あるいは、ディスカバリーが半ばまで終わった段階でクレーム解釈、というものだった。

しかし、いわれてみれば、クレーム解釈が侵害解釈に大きな影響を及ぼすのであるから、早期の段階で被告側に有利な解釈が認められれば非常に被告側に有利に働き、これによってディスカバリー負担は軽くなる。逆に、早期に行われたクレーム解釈によって、被告側に不利な判断が下される場合もあるわけで、この場合は訴訟を継続しようという意思が弱くなり、和解に傾く可能性もある。和解条件交渉にも影響はするが、その見極めが早く着く、という点では、双方にとってよいことなのかもしれない。

8. トライアルにおけるテーマ

この項については、さすがに経験がないので(当社は経験済みだが(苦笑)、私は担当としてほとんど関与していないので語るべきことを持っていない)、割愛する。

9. 姿勢の問題

「おわりに」に書かれていること、『ときに毅然として妥協をしない姿勢を見せることがトロールの標的にならないために重要』というのはおそらく一つの真実なのだろうけれど、本当にそうか?という疑問はどうしても残るし、『長い期間で見れば実際のコストを下げる』とは必ずしも言えないと思う。妥協せず戦うことにかかるコストは膨大で、それを将来の目に見えない『トロールの標的にされないための予防コスト』として割り切るには大きすぎるように思う。

BLJ 2012年3月号 『パテントトロール対策を成功に導く実務』(1)
BLJ 2012年3月号 『パテントトロール対策を成功に導く実務』(2)