弁理士会主催の標題の研修。行使は、日本コカ・コーラ株式会社の足立 勝 氏(NY州弁護士)。足立氏は、弁理士会中央知的財産研究所の研究員もされているが、お話を聞くのは初めてだった。企業のブランド実務サイドにたった話で大変興味深く拝聴した。
コカ・コーラ社は、あまたの飲料を製造販売されていて、どれもかなりの知名度を誇っており、中には「あ、あれってコカ・コーラのだったんだ」と思うような商品もあったりする。氏の説明を聞いてへぇ〜とおもったのは、コカ・コーラにはコーポレート(企業)ブランドというモノがなく、全て製品ごとのブランドであるというところ。確かに、コカ・コーラって、社名でもあるけれど、特定の商品のブランドであって、コカ・コーラブランドをその他の商品に企業ブランドとして使ったりはしていない。
この点、電機メーカーなどは企業ブランドを前面に押し出しているところが多い、と説明されていたけれども、確かに、その傾向は強いと思うが、食品メーカーや飲料メーカーでも企業ブランドを前に出しているところは少なくないとも思った。例えば、味の素株式会社は、同じように会社を代表する商品のブランドと社名が同じで、さらにそれを企業ブランドとしても使用し管理するということをされている(そして、その点に非常に苦心されているようである)。
コカ・コーラ社のやり方は、まったく企業ブランドというものをもたず、それぞれの商品のブランドマネージャーがブランド単位に事業を進めるということであった。米国系の消費財メーカーでは他にも代表例があった気がする。アパレルでは多いかな。
ともあれ、氏の考える、企業側から見たブランドの定義というのは、
ということであった。自社商品・サービスを、需用者・消費者に選択してもらう目的のために、消費者の心の中に、自社商品・サービスと一定の価値を連想させるツール
そして、ブランドの構成要素=ブランド要素には、以下のようなものがあり、商標と重なるところは当然大きいが、商標として保護されるかどうかは国の制度によって異なるのが現状である。
ブランド要素
・ネーム:商品・サービスの名前
・ロゴ・シンボル:ブランドを視覚的に表現するもの
・キャラクター:架空・実在の人物をかたどったもの
・スローガン:ブランドに関する記述的・説得的情報を伝達する短いフレーズ
・ジングル:ブランドに関する音楽メッセージ
・パッケージ:製品の容器や包装
そして、強力なブランド要素は、単独で、特定の商品やサービス(あるいは会社)を消費者に想起させる、商標としての機能を有する。ブランドは、ブランド要素の集合体であり、ブランド自体が商標と同一ではない。
このような話は不勉強で始めてきいたため、非常に整理されてあたまがすっきりした。なるほどね。ブランドは、いろいろな要素の集合体と考えればよいのか。全てのブランドが全ての要素をもっているわけではないけれども、複合的に使えばそのブランドは連想力が高くなり、パワフルになっていくということなのだろう。
(参考)関係する氏の論稿(まだ未読・・)
・「ブランドを守るということ−著名ブランドの保護について」Business Law Journal 16号(2009)
・「ブランドと稀釈化(ダイリューション)について」日本商標協会誌64号(2007)